君が心をくれたから⑪

REVIEW

第11話 雨の音色と未来の約束

キャスト

逢原 雨 … 永野芽郁  朝野太陽 … 山田裕貴  望田 司 … 白洲 迅
朝野春陽 … 出口夏希  柳田達夫 … 螢雪次朗  花村竜一 … 佐藤貴史
菊野 純 … 谷 恭輔  飛岡雄星 … 萩原 護  日下   … 斎藤 工
千秋   … 松本若菜  逢原霞美 … 真飛 聖  朝野陽平 … 遠藤憲一
逢原雪乃 … 余貴美子

 残された五感の最後となる聴覚が失われるまでのタイムリミットは後一週間。その間、雨と太陽はたくさん笑おうと約束し、幸せな時を過ごすが、お互いの心の中は辛いだろうな。自分が五感を失う立場だったら、もう死刑へのカウントダウンされているようで、楽しむどころじゃなくて気が狂いそう。おそらく心が病んでしまう。そう考えるとこんな過酷な状況に立ち向かっていて雨は強すぎる。

 そして当日、最後に雨が望んだ場所は学校。2人が初めて出会って、たくさんの思い出がある場所だ。始まった場所で終わる。意味ありげで、五感を失った瞬間に何か起こりそうだと思っていたが、これまで1つずつ失ってきた時と変わらず。違うのは、もう雨とは意思の疎通ができないこと。ちょっと拍子抜けだ。

 教室で時間を聞いた時点で、もしかしてリミットは4時ではなく3時というのはわかった。ただ、太陽にしてみたら伝えたい言葉伝えられず、こんな悔いをのこしたまま終わってしまうのかと思った。

 また、五感喪失後、彼女の内側は描かれなかったが、どういう状態だったのだろう。外に伝えられないだけで何か思っていたことはあっただろうに。

 でも、まだ奇跡は終わらない。翌日、雨の五感は戻るが、太陽は亡くなっていた。雨が差し出した心を太陽は返して命を落とすことを選択していた。奇跡とは与えられた奇跡に対して2人が何を思い、どんな選択をするのかを見つめるために存在する。雨は心を捧げる選択をしたが、太陽のどういう選択をするのかっていうがこのドラマだった。

 日下と白石小夜子も選択によっては違った未来を迎えていたのかもしれない。日下の脚本家になる夢を叶えた未来も。

そう考えるとこの奇跡は挫折していた太陽と雨の夢を叶えるためのチャンスを天が与えたのでないか。太陽は命を落としてしまったが、2人とも選択は間違っていなかったんじゃないだろうか。

 さらに母・明日香の言葉も春陽に伝えられ、彼女は太陽の意志をついで花火師に。雨は聞けなかった支える言葉も聞け、さらに太陽の花火も見ることができた。そしてパティシエの夢もかなえた。最後は天からの雨で赤い傘を開いてエンディング。

 こうしてみると雨の五感がもどってからのボリューム感がすごい。今までの色々な伏線をここで回収していた。

 ラブストーリーといえば月9だが、内容的には暗く重いので週初めの月曜日からは見るには疲れた。最終回の後半は特に疲れた。内容的に木曜日の10時枠でも良かったかなと思う。でも結末は良かったし、心をくれるどころか奪われたドラマだった。