君が心をくれたから⑤

REVIEW

第5話 すべて魔法のせいにして

キャスト

逢原 雨 … 永野芽郁
朝野太陽 … 山田裕貴
望田 司 … 白洲 迅
朝野春陽 … 出口夏希
柳田達夫 … 螢雪次朗
花村竜一 … 佐藤貴史
菊野 純 … 谷 恭輔
飛岡雄星 … 萩原 護
日下   … 斎藤 工
千秋   … 松本若菜
逢原霞美 … 真飛 聖
朝野陽平 … 遠藤憲一
逢原雪乃 … 余貴美子

あらすじ

○五感の告白、そして雪乃の病
 逢原雨(永野芽郁)は、味覚と嗅覚を失ったことをきっかけに、祖母・雪乃(余貴美子)へ五感を失う病について打ち明ける決意を固める。しかし帰宅すると、雪乃は激しい痛みに苦しんでいた。病院で告げられたのは末期がんという現実であり、余命は長くて二か月、早ければ数週間だという。突然突きつけられた別れの予感に雨は動揺するが、雪乃は生きている間は雨の笑顔を見ていたいと抱きしめる。雨は、自身の運命と雪乃の命が同時に迫っている現実を前に、言葉を失うのだった。

父の助言と太陽の痛み
 朝野太陽(山田裕貴)は雨に別れを告げられ、深く傷ついていた。そんな息子を見かねた父・陽平(遠藤憲一)は、亡き妻との思い出を語りながら、失恋した男にできることは三つだけだと諭す。それは、相手の幸せを願うこと、普段通り生きること、そして好きな人が泣いていたら必ず駆けつけることだった。一方で太陽は、雨のために用意していた指輪を手放してしまう。彼女のために“指輪の精”になりたかったという独白は、叶わなかった未来への切実な想いを象徴していた。

奇跡を願う雨と、触覚の宣告
 雨はあの世からの案内人・千秋(松本若菜)に、太陽の時のように雪乃にも奇跡を起こしてほしいと懇願する。しかし千秋は、奇跡は選べるものではないと静かに告げる。その直後、日下(斎藤工)が現れ、日付が変わったことを知らせる。雨の腕時計に表示されたのは「手」のマーク。次に失われる感覚が触覚であることを意味していた。大切な人の温もりすら感じられなくなる未来に、雨は恐怖と絶望を覚える。奇跡を信じたい心と、避けられない運命が残酷に交錯する場面である。

○秘密の告白と祖母の決意
 雪乃は、雨が何かを隠していることを見抜き、幼い頃に好きだった「アラビアンナイト」の呪文を口にして本心を聞き出そうとする。雨はついに、自分が五感を失う病気であることを告白する。すると雪乃は涙を浮かべながら、「生きる意味をくれてありがとう」と感謝を述べ、どんな治療でも受けて長生きすると約束する。死を拒み続けてきた雪乃が、生きる選択をした瞬間であり、それは雨の存在が彼女の希望になった証でもあった。二人は互いを支え合う決意を新たにする。

○指輪に託された願い
 雪乃の頼みで、望田司(白洲迅)は太陽に「アラビアンナイト」の絵本を届ける。その中には、卒業式の日に渡すはずだった雨の手紙が挟まれており、そこには太陽への本当の想いが綴られていた。真実を知った太陽は雨を追いかけ、バスを必死に追走する。迷いながらも雨はバスを降り、太陽のもとへ戻る。指輪をはめた雨は、五感をすべて失っても好きでいてほしいと願い、太陽はどんな彼女でも愛し続けると抱きしめる。二人は運命を受け入れた上で、共に生きる道を選んだ。

見どころ

○雪乃と雨、命をつなぐ告白
 本話最大の見どころは、雪乃と雨の告白の応酬である。死を目前にした雪乃が、雨の病を知ったことで生きる決意を固める展開は、本作のテーマである「心が人を生かす」ことを強く印象づける。守る側と守られる側が逆転し、雨の存在そのものが雪乃の希望になる構図は、家族愛の深さを静かに、しかし確実に胸に残す名場面である。

○指輪が象徴する“触れる未来”
 次に失われる感覚が触覚であると示される中で登場する指輪は、単なる恋愛小道具ではない。触れ合うこと、温もりを感じることが奪われていく運命の中で、指輪は「今、触れ合える時間」の象徴として強い意味を持つ。太陽が差し出し、雨がはめるという行為そのものが、失われゆく未来への抵抗であり、覚悟の表明となっている。

○幸せな後悔という選択
 日下が雨に告げた「幸せな後悔を選ぶべきだ」という言葉は、第5話を貫く核心である。行くにしても行かなくても後悔するなら、幸せな方を選べばいいという思想は、病や死と向き合う雨にとって唯一の救いとなる。バスを降り、太陽のもとへ向かう決断は、運命に抗うのではなく、受け入れた上で幸せを選ぶという、雨自身の成長を明確に示している。

感想

 涙、涙、涙。雨の涙ばかりが印象に残った。ガンで余命が残り少ないことを雪乃から告げられた時。次に失われる感覚が触覚とわかった時。五感を失うことを雪乃に告げた時。訪れた施設で自分の未来を想像した時。太陽が全てを知って会いにきた時。さらにそれを受け入れずバスに飛び乗ったのに太陽が走って追っている姿を見た時。多くの場面で雨が涙を流していた。

 雨だけに限らず、彼女が五感を失うことを知った雪乃や太陽も。司は涙こそ流さなかったけれど、心では大粒の涙を流していたことは見てとれた。前回同様、皆がそれぞれ傷ついている状態なのだが1ランクも2ランクもアップしたような感じで最終回までどこまで上がっていくのか。

 雨はこれから五感が失われていくだけに、太陽と色々な場面で共感できないことに加え、負担をかけてしまうこともあり、大好きな太陽にあえて嫌われようと嫌な態度をとってしまう。

 今回の肝になっている「アラビアンナイト」と「指輪」。追ってきた太陽にもとへ行っても行かなくても後悔するならば、魔法のせいにして今は幸せな後悔をする。そして雨が太陽に願い事をするラストのシーンにつながってくる。もちろん前回も出てきた手紙、観覧車での大事な存在の人を語った言葉もそれを盛り上げている。いいシーンで心に残ったなあ。

 太陽の父・陽平がいうフラれた男ができる3つのことは格好良すぎるかな。多分、それができるヤツは振られないような気がする。

 後は太陽を振り切って雨はバスの乗り込むシーン。太陽は何で立ちすくんでいるんだろう。そんな雨が好きならば、すぐに雨捕まえないか。けっこうバスに乗り込むまで時間あったのに。

 そのバスの中では座席から立ち上がった日下が、雨を“魔法”で後押した時にニコっと微笑んだように見えたのだが、それは何か彼の過去と関係がありそう。最初に登場した時は感情を出さず冷静でミステリアスな雰囲気だったが、以前とは少し変化が出てきたようで雨と太陽の未来に関係してくるのだろうか。

 このあたりが少し気になった点。

 それにしても次は触覚か。人に温もりを感じられないってのもあるけれど、痛みを感じることができないっては危険すぎる。怪我しても気づかないし、考えただけで怖すぎる。

 味覚、嗅覚に続いて、触覚に関係する過去の思い出が出てきそう。そう思ってたら次回の予告で母親が出てくるようなので、母親との温もりとかだろうか。