君が心をくれたから⑨

REVIEW

第9話 いつか見る景色のために

キャスト

逢原 雨 … 永野芽郁  朝野太陽 … 山田裕貴  望田 司 … 白洲 迅
朝野春陽 … 出口夏希  柳田達夫 … 螢雪次朗  花村竜一 … 佐藤貴史
菊野 純 … 谷 恭輔  飛岡雄星 … 萩原 護  日下   … 斎藤 工
千秋   … 松本若菜  逢原霞美 … 真飛 聖  朝野陽平 … 遠藤憲一
逢原雪乃 … 余貴美子

 日下の過去が明かされた。

 最初に登場した時から意味深で何かを背負っていそうな感じしかしなかった日下。彼も愛する人を救うために奇跡を受け入れた過去を持つ人間だった。日下は画家を目指していた女性・白石小夜子と出会い、恋に落ちる。しかし、彼女は20歳の時に事故で瀕死の重傷を負てしまう。命こそ助かるものの一生、動くことが出来なくなる。だが、奇跡を受け入れて身代わりになれば助けることができるという。

 奇跡って、ある人を助けるために違う人が代償を払うことだと思うが、それは色々なパターンがあるってこと?日下の時は彼女が負ったものをそのままだったけれど、太陽の場合だと等価で考えると雨の命になるのかな。でも今回は五感だった。でも、生きていても五感を失うのは死ぬ以上に辛いような気がする。五感を奪って雨の命を取らなかったことに何か理由はあるのだろうか。

 前回の話で日下が「彼はいつか花火師に戻る。人は誰もが最後は自分を守るものだから」というのは自分の過去の経験、太陽も白石小夜子と一緒だということなんだろう。たまに雨に見せる優しい笑顔は何だろうと思っていたが、誰よりも彼女の辛さがわかるからなのだろうなと納得した。

 2013年遺作となった「ごめんなさい」という題名がつけられた彼女の作品。それを見つけめる日下。穏やかで、いつもとは違う良い表情をしていた。辛くて希望などなかった日々だけど、ここにつながっていたと言って少しは報われたようだった。おそらく、最終回で描かれるのだろうが雨の場合は、どういう未来になるのだろうか。奇跡の先に希望はあると信じて最終回に期待したい。

 もう一つ明かされたのが、なぜ千秋の今は10秒間なのか?花火が咲いて散っていくまでの時間…それは太陽の父・陽平が千秋(妻の明日香)に言った言葉だった。花火師は10秒間に全身全霊を尽くしている。一生残る思い出を届けたくてと。そして陽平が人生で一番大切だった10秒間は明日香と出会った時だと太陽に語る。エンディングに向けて、この辺が何か鍵になっていきそうな感じがする。

 また、千秋が太陽にお願いした見たかった景色は「家族の団らん」だった。思い出の場所や太陽の花火なのかと思ったけれど、成長した子供2人と夫との団らんだった。千秋には見ることが叶わなかったから景色だからだろう。この後、陽平と千秋を2人にすべく、太陽は春陽を誘ってコンビニに行くが、気配を感じたのか、陽平が妻への感謝を述べるシーンはとても泣けた。この他にも日下が美術館で遺作を見るシーン、さらに太陽が千秋のこれまでの人生を語るシーンは見どころだった。

 火事があった時に降った雨に関して太陽と朝野煙火工業を守るために降らしてくれたと妻に感謝しているけれど、以前に日下が言った「人は死んだらほんのわずかな時間だけ雨を降らすことができ、雨に心を込めて、大切な人に思いを届ける」というのにつながっていて、以外にといったら失礼だけど、考えられて作れれているのだなと思った。ただ、毎回、誰かが涙を流して暗いドラマではなかった。