君が心をくれたから③

REVIEW

第3話 初恋の想い出

キャスト

逢原 雨 … 永野芽郁
朝野太陽 … 山田裕貴
望田 司 … 白洲 迅
朝野春陽 … 出口夏希
柳田達夫 … 螢雪次朗
花村竜一 … 佐藤貴史
菊野 純 … 谷 恭輔
飛岡雄星 … 萩原 護
日下   … 斎藤 工
千秋   … 松本若菜
逢原霞美 … 真飛 聖
朝野陽平 … 遠藤憲一
逢原雪乃 … 余貴美子

あらすじ

○恋ランタンに託した、叶ってしまった願い
 長崎ランタンフェスティバル名物の「恋ランタン」。高校時代、逢原雨(永野芽郁)は朝野太陽(山田裕貴)に初恋の人がいると知り、祖母・雪乃(余貴美子)から「最初の人より大切なのは、最後まで想ってくれる人」という助言を受ける。その言葉に背中を押され、雨は閉まりかけの孔子廟まで走り、恋ランタンに願い事を書いた。大人になった今、雨はその願いがすでに叶っていることを、皮肉にも失われゆく時間の中で思い知らされていく。

味覚を失った先に待つ、次の喪失
 味覚を完全に失った雨は、パティシエという夢が二度と叶わない現実に打ちのめされる。雪乃から現実的な助言を受け、思わず感情をぶつけてしまう雨。そんな彼女の前に現れた案内人・日下(斎藤工)は、五感は一つずつ失われ、次の感覚と期限は深夜0時に告げられると明かす。やがて腕時計に現れたのは「鼻」のマークと11日後の期限。嗅覚が選ばれたことに安堵する雨だったが、日下は嗅覚こそ記憶と強く結びつく感覚だと意味深に告げる。

祖母が託した、雨への最後の願い
 太陽の父・陽平(遠藤憲一)が救急搬送される騒動のさなか、雪乃は太陽と妹・春陽(出口夏希)に自身の病を打ち明ける。脊椎がんで余命半年と宣告されていた雪乃は、すでに一年を生きていた。自分がいなくなった後の雨を案じる雪乃は、太陽に「雨の幸せを願う気持ちを受け取ってほしい」と頼む。その言葉は、太陽にとって重く、しかし逃げられない“覚悟”として胸に刻まれていく。

○思い出の匂いと、会わない選択
 仕事を探す雨は、望田司(白洲迅)の紹介で結婚式場の仕事を始める。幸せな誓いの言葉や空気に触れる中で、雨は高校時代の太陽との記憶を次々と思い出す。それらが匂いと結びついていることに気づいた雨は、嗅覚を失えば思い出さえ奪われると悟り、自分は幸せになれないのだと思い込む。太陽との約束を破り、会わずに帰ろうとする雨を、案内人・千秋(松本若菜)は「思い出を作る権利は誰にでもある」と優しく押し出す。

○叶った恋と、報われない涙
 雨と太陽はランタン祭りをともに過ごし、太陽は自身の視覚障害と、雨の好きなものを知りたかった理由を語り、「君のことが大好きだ」と想いを告げる。だが雨は、すでに好きな人がいると告白を断る。その後、孔子廟を訪れた雨は、高校時代に書いた二つの願い事を思い出す。「最愛の人になれますように」「初恋の人と手をつなげますように」——その両方が叶っていたことを認め、「悔しいな」と涙を流すのだった。

見どころ

○嗅覚=記憶という切ないテーマ提示
 第3話で際立つのは、嗅覚が記憶や感情と深く結びついているという描写だ。結婚式場の空気、クレープの匂い、制服の思い出。それらが一瞬で過去へと引き戻す様子は、嗅覚を失うことが“人生の断片を失う”ことと同義であると強く訴える。次に奪われる感覚が示されたことで、物語はより具体的で残酷なカウントダウンへと進んでいく

○告白を断つ雨の、優しさと残酷さ
 太陽の告白に対し、雨が応えなかった選択は、視聴者に強い余韻を残す。自分の未来が消えていく中で、太陽の人生まで縛れないという優しさと、ただ“好きと言ってもらえた”事実で満たされてしまう脆さ。その両方が同時に存在している点が、雨という人物の切なさを際立たせる。恋が成就しても、幸せになれるとは限らないという現実が突きつけられる場面だ。

○司という“第三の存在”の存在感
 ラストで雨に傘を差し出す司の存在が、物語に新たな重心を生む。奇跡も運命も知らない立場で、雨の弱音をそのまま受け止め、抱きしめる司。その行為は、太陽とは異なる“現実的な救い”を象徴している。三角関係というより、雨が選びうるもう一つの居場所として、司の存在が静かに浮かび上がる重要な回となっている。

感想

 嗅覚消失へまでのカウントダウンが今回の話。時計に現れたマークは鼻。視覚や聴覚でなかったことにホッとする雨。見ていて自分もその立場だったら同じこととを思ったに違いない。だって人間が受け取る情報は8割が視覚、1割が聴覚でこの2つだけで9割以上を占めているはず。

 音が聞こえない無音の世界もかなり怖いけれど、やっぱり目が見えないという視界から情報を得られないのは、それ以上に恐怖に感じてしまう。それに比べれば嗅覚は全然ましに感じる。

 ただ、日下は嗅覚はただ匂いを感じるだけものもではないという。そして、そこには大切な意味があり、人に無駄な感覚は一つとして存在しないと。普段、当たり前に感じているので意識していないが、もし五感のうち、それぞれどれかでもいきなり失われたらと感じたら生活に支障を感じることこの上ない。

 とはいえ、その感覚がきちんと機能していたらなんだよなあ。嗅覚は思い出の扉を開く鍵。そう言われてもなかなかピンとこない。個人的なことを言うと、鼻炎であまり鼻が効かないので、匂いで過去も思い出すと言われてもあんまり共感できなかった。そういう意味でいったら、嗅覚以外でも聴覚、視覚あたりは生を受けて感じることが出来ていない人にとっては、今後描かれるであろう話にうーん?共感できないのかなと弄れたことを考えてしまった。

 ところで、時間ともに五感が失われいくので暗くなりがちだけど、太陽の父・陽平が3カ月も便が出なくて入院したり、雨と千明のガールズトークっぽいシーンはいい閑話休題になっているように思う。

 さて、次に失われるのは視覚、触覚、聴覚のうちどれだ?