絶対零度~情報犯罪緊急捜査~⑪

REVIEW

第11話 国家か娘か、総理に迫る究極の決断

キャスト

二宮奈美 … 沢口靖子
佐生新次郎 … 安田顕
山内徹 … 横山裕
清水紗枝 … 黒島結菜
南方睦郎 … 一ノ瀬颯
田辺智代 … 馬場園梓
掛川啓 … 金田哲
早見浩 … 松角洋平
桐谷カナ … 白本彩奈
桐谷杏子 … 板谷由夏

あらすじ

○姿なき首謀者・久慈を追え
 SE連続殺人事件の被疑者・野村の供述から、一連の情報犯罪とサイバー攻撃の首謀者が久慈幹二である可能性が濃厚となる。清水は、カナ誘拐の脅迫電話をかけている人物も久慈であり、しかも都内に潜伏していると突き止めた。しかし久慈は、シェアオフィスやネットカフェを転々とするノマド。顔も名前も割れているのに捕まらない状況に、DICTメンバーは焦燥感を募らせていく。

究極の脅迫、国家か娘か
 杏子のもとに届いた脅迫は、首脳会談でレンガラへの50兆円無償援助を発表しなければカナを殺すというものだった。ビデオ通話で暴行されるカナの姿を見せつけられ、杏子は国家と娘の命を天秤にかけられる。総理としての責任と母としての感情が激しく衝突し、極限状態に追い込まれていく。

音が導く突破口
 奈美と清水は、脅迫電話の音声を解析する中で、断続的な振動音に気づく。それは電車の走行音で、トンネルに入る瞬間に途切れていた。清水はAI解析とIP情報を組み合わせ、久慈が潜伏している可能性のあるトンネル近くのシェアオフィスを割り出す。小さな違和感を見逃さなかった奈美の洞察が、ついに久慈包囲網を形作っていく。

○捕まったプレイヤー
 複数のシェアオフィスへの一斉捜索で、逃走を図る久慈を山内が確保。スタンガンを振り回す久慈を制圧し、公務執行妨害で逮捕する。取調べで久慈は、これまでの事件はすべてゲームであり、自分はプレイヤーの一人にすぎないと告白。奈美と山内は、裏で人を操る真のゲームマスターの存在を確信し、事態がさらに深刻であることを悟る。

○真の黒幕、その正体
 首脳会談直前、佐生の導きで奈美と杏子はカナの居場所へ向かう。だが現地で待っていたのは、爆弾と無人のアジトだった。爆発後、PC画面に現れたカナは、すべてのゲームを作ったのは自分だと告白。母やDICTが翻弄される様子を楽しんでいたという衝撃の真実が明かされる。数日後、総理辞任と新たな爆発事件が起こり、奈美は再びカナを追う決意を固める。

見どころ

○音から犯人を追い詰める捜査の妙
 電車の走行音という、誰もが聞き流してしまいそうな要素を突破口にする展開は、情報犯罪ドラマならでは。アナログな気づきとAI解析を融合させるDICTの捜査手法がリアルで、視聴者にも考える余地を与える緊張感あるシーンとなっている。

○総理であり、母である苦悩
 杏子が迫られる究極の選択は、国家ドラマと家族ドラマを同時に成立させている。本音を吐露しながらも職務に戻る姿、そして奈美に弱さを見せる場面は、権力者ではなく一人の母としての人間味を強く印象づける。

○衝撃の黒幕と終わらない戦い
 久慈逮捕で終わるかと思わせてからの、真の黒幕がカナ本人という大どんでん返しは衝撃的。ゲーム感覚で国家と命を弄ぶ存在が逃亡し、物語は未完の恐怖を残して幕を閉じる。奈美が再び追う決意を固めるラストは、シリーズの核心を突く余韻を残した。

感想

 久慈を追い詰め、ついに逮捕に成功。脅迫電話の音声に混じる電車の走行音から居場所を割り出す展開に期待感が高まった。

 しかし、それもつかの間、久慈は単なるプレイヤーで黒幕ではなかった。ここまでは想定内、真の黒幕は政府関係者か警察内にいるのではないかと思っていたが、判明した黒幕はまさかの人物だった。

 全てを操っていたのはカナという事実に予想もしていなかった。杏子が母と国家の間で苦しんでいたことを考えると真相はとてつもなく残酷だった。それと同時に見ていて不快感すら覚えた。

 最終的に杏子は総理を辞任するもカナは自由な状態に正義が報わなず、やるせなさが残る。また被害者であるが加害者という状況に歪んでいて現代らしいとも思える。

 爆発、そして姿を消すカナというラストシーンに情報犯罪は終わらないと余韻を感じさせるも後味の悪さが残った。