絶対零度~情報犯罪緊急捜査~⑦

REVIEW

第7話 サイバー攻撃が病院を襲う

キャスト

二宮奈美 … 沢口靖子
佐生新次郎 … 安田顕
山内徹 … 横山裕
清水紗枝 … 黒島結菜
南方睦郎 … 一ノ瀬颯
田辺智代 … 馬場園梓
掛川啓 … 金田哲
早見浩 … 松角洋平
桐谷カナ … 白本彩奈
桐谷杏子 … 板谷由夏

あらすじ

○医療インフラを襲うサイバーテロ
 頻発するシステム障害やSE連続殺人、奈美(沢口靖子)の拉致は同一組織による犯行と断定され、「警察庁広域重要案件 H-WKN159」に指定される。そんな中、足の治療で訪れていた永明大学病院で、奈美は少女・真由(白山乃愛)や看護師(白石優愛)らとエレベーターに閉じ込められる。同時に病院全体のシステムがダウンし、「データを暗号化した」という犯行声明が表示され、病院は未曽有の混乱に陥る。

二つの命、迫るタイムリミット
 病院では幹事長の妻・光江(西見桂)が心臓手術の最中だったが、オペ室が停電し非常電源も作動しない。医療機器のバッテリーは約1時間が限界。一方、エレベーター内では真由の点滴が切れれば命に関わる状況だった。犯人は「100万ドルを払えば復旧する」と脅迫し、病院は二つの命を天秤にかけられる極限状態に追い込まれる。

DICTの捜査と命の序列
 病院へのサイバーテロがH-WKN159関連と判明し、DICTが本格的に介入。清水(黒島結菜)は遠隔で捜査を進め、南方(一ノ瀬颯)は病院に恨みを持つ人物を洗い出す。そんな中、「どこか一つだけ復旧させてやる」という新たな犯行声明が届く。佐生(安田顕)は国益を理由にオペ室優先を命じるが、掛川(金田哲)は「命に序列はつけられない」と激しく反発し、過去の苦い経験を重ねて対立が深まる。

○暴かれる犯人の正体と動機
 清水が侵入ログから手がかりを見つけ、奈美はサーバールームへの侵入方法に違和感を抱く。テンキー入室の可能性を突き止めた結果、犯人は同じエレベーターに乗っていた清掃員・高倉(森啓一朗)だと判明。病院で理不尽に扱われ、誰にも認められなかった怒りが犯行動機だった。奈美はその感情に理解を示しつつも、他人を巻き込む行為の危うさを諭す。

○救われた命と新たな脅威
 真由の言葉により自分が認められていたと知った高倉は、USBを使った犯行を自白。DICTの連携で病院システムは復旧し、光江の手術も再開、真由も救われる。しかし高倉は実行犯に過ぎず、背後には正体不明の組織が存在していた。事件が収束した直後、今度は首相・杏子(板谷由夏)の娘・カナ(白木彩奈)が拉致された画像が届き、物語は新たな局面へ突入する。

見どころ

○病院×サイバー攻撃のリアルな恐怖
 医療インフラを標的にしたランサムウェア攻撃は現実とも重なり、命に直結する恐怖が強烈に描かれる。停電、暗号化、脅迫という一連の流れが緊張感を途切れさせず、視聴者に「情報犯罪の本当の怖さ」を突きつけた。

○命に序列はあるのか
 国家と個人、国益と命という重いテーマが、掛川と佐生の対立を通して鮮明になる。過去のトラウマを背負う掛川の叫びは、DICTという組織の存在意義を改めて浮き彫りにした。

○小さな承認が救った心
 犯人・高倉が「認められなかった怒り」を抱えていたこと、そして真由の純粋な感謝の言葉が彼の心を動かした展開は、本作らしい人間ドラマの核心。巨大な犯罪の裏にある、個人の孤独と救済が強く印象に残る。

感想

 病院をターゲットにしたサイバーテロと中々に冷徹な話だった。停電とランサムウェアにより病院のシステムが停止。手術中の患者とエレベーターに閉じ込められた少女の命が同時に危機にさらされ、「どちらを救うのか」という究極の選択を突きつける展開は緊張感があった。

 佐生と掛川の対立は、「国家のために誰かの命を切り捨てていいのか」という重いテーマを突きつけた。国益を理由に命の優先順位をつけようとする佐生に対し、過去に国家の判断で切り捨てられた命を背負う掛川の言葉には説得力があり深みを加えた。

 エレベーターに閉じ込められた奈美により、犯人が清掃員の高倉だったことが明らかになる。存在を軽んじられ続けた怒りが犯罪へとつながる様はリアルで切ない。

 それでも、真由の感謝の言葉が高倉の心を動かしたラストには重い展開の中にも救いを感じさせたと思う。