夫に間違いありません①

REVIEW

第1話 死んだはずの夫の帰還。狂い始める幸せの歯車

キャスト

朝比聖子 … 松下奈緒
葛原紗春 … 桜井ユキ
天童弥生 … 宮沢氷魚
貴島光聖 … 中村海人
九条まゆ … 松井玲奈
朝比栄大 … 山﨑真斗
朝比亜季 … 吉本実由
藤谷瑠美子 … 白宮みずほ
薩川景虎 … 大朏岳優
藤木快斗 … 二井景彪
葛原希美 … 磯村アメリ
山上 仁 … 前川泰之
朝比いずみ … 朝加真由美
九条ゆり … 余貴美子
朝比一樹 … 安田顕

あらすじ

○消えた夫、残された妻
 朝比聖子(松下奈緒)の夫・一樹(安田顕)は、ある日突然、何の前触れもなく姿を消した。事件性も見当たらず、警察の捜索も決定打を欠いたまま一カ月が過ぎる。夫の帰りを信じながらも、不安と焦燥に押し潰されそうになる聖子。幼い子どもたちと義母を抱え、店と家庭を守りながら待ち続ける日々は、次第に彼女の心を追い詰めていく。そんな中、警察から一本の電話がかかってくる。

夫に間違いありません
 川の下流で発見された水死体から、一樹の運転免許証が見つかったと知らされる聖子。事故による溺死とされ、遺体の顔は損傷が激しく確認できない状態だった。それでも聖子は、ある身体的特徴を見て「夫に間違いありません」と告げる。その瞬間、彼女は深い悲しみに崩れ落ちる。自ら下した“夫の死”の確認は、やがて取り返しのつかない選択となり、物語の根幹を揺るがすことになる。

一年後の静かな日常
 それから一年。聖子は二人の子どもと義母・いずみ(朝加真由美)と共に、家業であるおでん屋『あさひおでん』を守りながら生きていた。悲しみを胸に封じ込め、母として、嫁として、店主として懸命に日常を回す聖子。周囲からは立ち直ったように見える彼女だが、心の奥では「本当にあれは夫だったのか」という疑念を、誰にも言えず抱え続けていた。

○死んだはずの夫が帰ってきた
 ある日の昼下がり、店の奥から物音が聞こえ、様子を見に行った聖子の前に現れたのは、死んだはずの一樹だった。現実とは思えない光景に言葉を失う聖子。一樹は家族を置いて出て行ったことを涙ながらに謝罪し、帰ってきた理由を語り始める。喜びと困惑が交錯する中、聖子は自分が犯した「遺体の誤認」という重大な過ちに気づいてしまう。

○警察へ行けない理由
 「今すぐ警察へ行こう」と告げる聖子。しかし、一樹はすでに死亡保険金が支払われている事実を知り、激しく動揺する。返還、罪、家族への影響――現実的な問題が一気に押し寄せ、二人は簡単に正解を選べなくなる。さらに聖子は、同じように行方不明の夫を探す葛原紗春(桜井ユキ)と出会い、この出来事が“偶然ではない”可能性を感じ始めるのだった。

見どころ

○「確認」という選択が生むサスペンス
 本作最大の特徴は、妻自身が「夫の遺体だ」と確認してしまった点にある。事故でも事件でもなく、“善意と確信”による選択が、物語全体のサスペンスを生み出す。誰かに騙されたわけではなく、自分で決断したからこそ、聖子は苦しみ続ける。視聴者もまた、「自分だったら同じ判断をしないと言い切れるのか」と問いを突きつけられる構造が秀逸だ。

○松下奈緒×安田顕の緊張感ある夫婦像
 松下奈緒演じる聖子の抑制された感情表現と、安田顕演じる一樹の掴みどころのなさが、再会シーンに強烈な緊張感をもたらしている。喜び、怒り、不信、罪悪感が一瞬で交錯する芝居は圧巻。特に「警察へ行こう」と告げる聖子と、それを拒む一樹の対話は、このドラマが単なる再会劇ではないことを強く印象づける。

○連鎖していく行方不明の謎
 第1話の終盤で描かれる、葛原紗春という新たな存在は物語を一気に拡張させる。同じ境遇の女性の登場により、「遺体の誤認」は個人的な不幸ではなく、社会的な闇へとつながっていく可能性が示唆される。一樹はなぜ消えたのか。あの遺体は誰だったのか。第1話は、視聴者を確実に次話へ引き込む強度を持っている。

感想

 遺体確認の間違いから始まる物語。聖子が遺体を前に「夫に間違いありません」と告げる場面は静かながら残酷だ。手のホクロの位置に所持品に本人の免許証とくれば首をタテに振ってしまう。

 しかし、下した結果が誤りだったとわかる再会の場面は、安堵と違和感が同時に押し寄せる空気感がなんとも言えない。死んだと思った人間がひょっこり帰ってくる展開はなかなか強烈だが、喜びよりも疑念が浮かんでくる。初回のつかみどころとしては好印象だった。

 一方で保険金の存在により倫理と現実が衝突し、この先どうなるのかと引き込まれる。そして安田顕が演じる一樹が何だか怪しくて不気味だ。姿を消していた理由も何か裏がありそうだ。

 今後この間違いが朝比家と葛原家にとってどう変わっていくのか?何かを壊してしまうのか?何かを救うのか?両家にとって影響することだけは間違いないような気がする。