第8話 誘拐された総理の娘
キャスト
二宮奈美 … 沢口靖子
佐生新次郎 … 安田顕
山内徹 … 横山裕
清水紗枝 … 黒島結菜
南方睦郎 … 一ノ瀬颯
田辺智代 … 馬場園梓
掛川啓 … 金田哲
早見浩 … 松角洋平
桐谷カナ … 白本彩奈
桐谷杏子 … 板谷由夏
あらすじ
○総理の娘誘拐、国家崩壊の危機
内閣総理大臣・桐谷杏子(板谷由夏)のもとに、娘カナ(白木彩奈)が拘束された画像と脅迫電話が届く。要求は不明のまま、誘拐は国際犯罪組織H-WKN159との関連が疑われ、事態は国家的危機へ発展。情報が漏れれば日本の統治能力そのものが疑われるため、佐生副長官(安田顕)は極秘捜査を命じ、DICTが動き出す。政治と治安、そして一人の母の想いが交錯する緊迫の幕開けとなった。
○母としての顔、総理としての仮面
奈美(沢口靖子)は杏子本人から事情聴取を行うが、杏子は娘の交友関係をほとんど把握していなかった。家庭を顧みず、仕事を優先してきた後悔に揺れる杏子。奈美は付き添い役として寄り添い、「必ず取り戻す」と励ます。国家のトップである前に一人の母である杏子の弱さと強さが、静かに浮かび上がる場面となった。
○ゲームコミュニティに潜む
捜査はカナのオンライン活動へ。彼女は高い腕を持つゲーマーで、ゲーム内でスコット(樋口幸平)と親しくしていたことが判明。山内(横山裕)らの追跡により、スコットの正体は沢北卓。東南アジアで稼げる仕事を餌に若者を勧誘するリクルーターだった。ネット上のつながりが現実の犯罪へ直結する、現代的な誘拐の構図が明らかになる。
○ディープフェイクの拡散とSNS地獄
杏子の不適切発言や不倫を示唆する映像がネットに流出。奈美は即座にディープフェイクだと見抜くが、映像は瞬く間に拡散し、世論は杏子を糾弾する。佐生の勧めで記者会見を開くも、夫・晋一(森岡豊)の不倫写真を突き付けられ、会見は大混乱に。フェイクが真実を飲み込む恐怖が、リアルに描かれる。
○スピン操作の裏に潜む真犯人
奈美はディープフェイクの元映像が官邸内部から流出していた事実を突き止め、仕掛け人が佐生だと見抜く。目的は、娘誘拐から世間とマスコミの目をそらすための情報操作。冷酷な合理性と救出への執念が交錯する中、奈美は協力を選ぶ。一方、犯罪組織とつながる久慈幹二(池内万作)の存在が浮上し、捜査は核心へ近づいていく。
見どころ
○国家の威信を賭けた誘拐事件
総理の娘誘拐がただの誘拐事件ではなく、国家的な情報戦の一部として描かれる点。情報が一度外に出ただけで国家の統治機能や信用が揺らぐという構図は、情報犯罪ドラマとしてのテーマ性を強烈に浮かび上がらせる。
○ディープフェイクが壊す現実
真偽よりも拡散力が正義になる恐怖を、総理のスキャンダルという題材で描写。フェイクだと分かっても信じられない現実が、情報社会の脆さを強烈に突きつける。
○警察内部の計算と倫理
佐生が情報戦略として騒動を利用している可能性が示唆され、単純な誘拐事件以上の深謀が見え隠れする。奈美の洞察力と佐生の厳しい計算がぶつかり合う中、警察としての倫理観と戦術の間で揺れるドラマ性が高まる。
感想
総理の娘誘拐という国家的危機を隠すためにディープフェイクによる不倫疑惑映像で世論を操作する。
情報が武器にも凶器にもなる現代社会の怖さを生々しく描いていてゾッとした。SNS全盛期の今、真実と虚構の境界線が曖昧で何を信じればいいのだろうと感じた。
奈美と佐生の対峙はそれぞれの立場によって変わり、どちらが良くてどちらが悪いと正解がなくて考えさせられた。
そのため、佐生の国家危機を避けるための戦略というのはわからなくもないが、その裏に何かありそうでなかなか読めない。
そんな彼に支えられ総理として立ち続け、母親として苦悩し娘を思う杏子。第8話は政治、犯罪、家族が複雑に絡み合った濃密な回だった。

