もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう⑦

REVIEW

第7話 コンビ解散だ

キャスト

久部三成 … 菅田将暉
倖田リカ … 二階堂ふみ
蓬莱省吾 … 神木隆之介
江頭樹里 … 浜辺美波
風呂須太郎 … 小林薫
トニー安藤 … 市原隼人
大瀬六郎 … 戸塚純貴
パトラ鈴木 … アンミカ
毛脛モネ … 秋元才加
朝雄 … 佐藤大空
おばば … 菊地凛子
江頭論平 … 坂東彌十郎
うる爺 … 井上順
伴工作 … 野間口徹
ジェシー才賀 … シルビア・グラブ
乱士郎 … 佳久創
浅野大門 … 野添義弘
浅野フレ … 長野里美
トンちゃん … 富田望生
黒崎 … 小澤雄太
彗星フォルモン … 西村瑞樹(バイきんぐ)
王子はるお … 大水洋介(ラバーガール)
仮歯 … ひょうろく
毛利里奈 … 福井夏
ケントちゃん … 松田慎也
いざなぎダンカン … 小池栄子

あらすじ

○怒涛の一週間
 「夏の夜の夢」初日から1週間。久部(菅田将暉)は、うる爺(井上順)に代わり是尾(浅野和之)を迎え入れ、「冬物語」を同時上演するという無謀な決断を下す。昼は稽古、夜は本番という過酷な日々の中、劇団は限界寸前で走り続けていた。

週120万円の現実
 ジェシー(シルビア・グラブ)が課す週120万円のノルマに対し、売上は半分以下。支配人・大門(野添義弘)は家宝の鎧を売って資金を工面するが、ジェシーは小細工を見抜き久部を追い詰める。理想と現実の差が残酷に突きつけられる。

是尾の脱走と奇跡の舞台
 酒癖を心配され監視される是尾は楽屋から脱走。しかし開演直前、路上で発見され自力で舞台へ。酒を感じさせない圧巻の演技に、久部は完全に心を奪われる。才能への陶酔が、危うさを覆い隠していく。

選ばれる者、取り残される者
 芸人・はるお(大水洋介)に舞い込んだコンビ解散を条件とするテレビ出演の話。久部は背中を押したり翻したりと揺れ続け、前金150万円を預かるが、フォルモン(西村瑞樹)への対応で不信を生む。夢と金の間で揺れる言葉が、人間関係を静かに壊していく。

○着服と情熱のはざまで
 久部は前金を劇団存続のために流用し、自分を正当化する。一方で蓬莱(神木隆之介)の不信は募る。しかし夜、黙々と稽古するトニー(市原隼人)の姿に心を打たれ、演劇を磨く喜びに涙する久部。純粋さと危うさが同居する結末。

見どころ

是尾礼三郎の復活
 問題を抱えながらも舞台に立てば圧倒的な存在感を放つ是尾。才能が人を狂わせ、救いもするという、演劇の魔力が凝縮された名シーンが続く。

○久部の言葉が信頼を壊す瞬間
 はるおへの助言、金の扱い、蓬莱への態度。久部の一言一言が、人の人生と信頼を揺るがしていく。理想家ゆえの独善が、物語を大きく歪ませていく過程が見逃せない。

演劇だけは嘘をつかない
 混乱と裏切りの中でも、舞台と稽古の場面だけは真実に満ちている。トニーへの演技指導で見せる久部の涙が、彼がなぜ演劇から離れられないのかを雄弁に物語る。

感想

 夢と現実の間で久部が人としての道を外していく、そんな回だった。是尾の演技に酔いしれ、劇団の現実的な崩壊や仲間の不信に目をつぶってしまう。

 はるおの今後の選択をめぐって二転三転する態度や、前金150万円を「劇団のため」と言い聞かせて流用する場面は自分の都合で翻す態度の落差が痛々しく、劇団主宰…いや人としての倫理が崩れていくのを感じた。

 一方ではるおとフォルモンとのコンビ解散による別れは芸能界としての厳しさと相方への愛情が交錯して何とも切ない。

 そんな中で真摯に自主稽古するトニーの姿に心に打たれ、演技指導し久部の頬を伝う涙には偽りがなく、彼が本当に信じているのは舞台の力なのだと伝わってくる。それだけ純粋な彼だけに過ちの行動が痛ましく感じる。この舞台への情熱がWS劇場の面々を救うのか?