共同テレビジョン(共テレ)とは?その歴史とフジテレビとの強固な関係性
日本のテレビドラマの歴史を語る上で、決して欠かすことのできない存在が「株式会社共同テレビジョン」である。業界内やドラマファンの間では「共テレ」の愛称で親しまれており、エンドロールでそのロゴを目にしたことがある人も多いだろう。本記事では、この共同テレビがいかにして日本のテレビドラマ界において重要なポジションを築き上げてきたのか、その歴史と制作の裏側に迫っていく。
共同テレビジョンは、1958年に設立された映像制作会社である。当初はテレビニュースの取材や制作を主目的として設立された経緯があり、現在でも報道番組や情報番組、スポーツ中継などの制作を幅広く手掛けている。しかし、一般視聴者にとって最も馴染み深いのは、何と言ってもテレビドラマの制作であろう。
特にフジテレビとの関係性は非常に強固である。共同テレビはフジサンケイグループの一員であり、実質的にフジテレビのドラマ制作における「心臓部」あるいは「主力部隊」として機能してきた。1980年代後半から1990年代にかけてのトレンディドラマブーム、そしてその後の多様化するドラマ作品群において、フジテレビが他局を圧倒する視聴率と話題性を獲得できた背景には、共同テレビという極めて優秀な制作集団の存在があったのである。
局の自社制作だけではカバーしきれない膨大な番組制作の需要に応えるため、共同テレビは数多くの名作ドラマの企画・演出・制作を担ってきた。自社内に優秀なプロデューサーやディレクターを多数抱えており、単なる「下請け」ではなく、クリエイティブの根幹から作品作りに深く関与する「パートナー」としての地位を確立しているのが大きな特徴だ。
ここで、共同テレビジョンの基本的な情報をわかりやすく表にまとめておく。
| 項目 | 詳細情報 |
| 会社名 | 株式会社共同テレビジョン(KYODO TELEVISION, LTD.) |
| 通称・略称 | 共テレ |
| 設立年 | 1958年(昭和33年)7月 |
| 主要株主 | 株式会社フジ・メディア・ホールディングス 等 |
| 主な事業内容 | テレビ番組(ドラマ、バラエティ、報道等)の企画・制作、映像技術協力 |
| ドラマ以外の代表作 | 「チコちゃんに叱られる!」(NHK)、各種報道・スポーツ中継 など |
| フジテレビとの関係 | フジサンケイグループに属し、フジテレビの番組制作を強力にサポートする中核企業 |
1990年代〜2000年代:テレビドラマ黄金期を支えた共同テレビの名作たち
共同テレビの真価が最も発揮され、その名が広く知れ渡ることになったのは、1990年代から2000年代にかけての「テレビドラマ黄金期」である。この時期、共同テレビは視聴率20%超えが当たり前だった時代において、歴史に名を刻む名作ドラマを次々と世に送り出してきた。
その筆頭として挙げられるのが、1990年に放送が開始されたオムニバスドラマ「世にも奇妙な物語」である。タモリがストーリーテラーを務め、ホラー、SF、コメディ、感動など、様々なジャンルの短編を毎週放送するという斬新なスタイルは、当時の視聴者に強烈なインパクトを与えた。この番組は、若手からベテランまで多彩なディレクターや脚本家が腕を競い合う実験の場としても機能し、共同テレビの演出力を飛躍的に高める原動力となった。現在でも春と秋の特別編として放送が続く長寿コンテンツとなっており、共同テレビの代表作中の代表作と言える。
続いて、1995年に放送された三谷幸喜脚本の「王様のレストラン」も外せない。フレンチレストランを舞台にしたこの群像劇は、緻密な脚本と個性豊かなキャラクター、そしてワンシチュエーションに近い舞台設定を見事に活かした演出が高く評価された。この作品を手掛けたのも共同テレビの制作陣であり、質の高いコメディドラマを作らせたら右に出る者はいないという評価を決定づけた。
さらに、1998年の「ショムニ」は、江角マキコ演じる型破りなOL・坪井千夏が会社の不条理を痛快に斬っていく姿が共感を呼び、大ヒットシリーズとなった。コミカルなだけでなく、働く人々のリアルな悩みをすくい取ったこの作品は、共同テレビが時代の空気を読む力に長けていることを証明した。
また、2000年代に入ってからは、草彅剛が主演を務めた「僕シリーズ」が社会現象を巻き起こした。「僕の生きる道」「僕と彼女と彼女の生きる道」「僕の歩く道」と続くこのシリーズは、余命宣告や自閉症といった重いテーマを真正面から扱いながらも、決して絶望で終わらせない、温かく希望に満ちた人間ドラマとして多くの視聴者の涙を誘った。脚本の橋部敦子と共同テレビの演出陣(星護、河野圭太ら)がタッグを組んだこれらの作品は、ドラマが持つ「人の心を動かす力」を最大限に引き出した傑作として、今なお語り継がれている。
これらの名作ドラマは、単なる娯楽の域を超え、視聴者の人生観や社会の価値観にまで影響を与えた。共同テレビは、時代が求めるテーマを鋭く察知し、それを極上のエンターテインメントに昇華させる天才的な職人集団だったのである。
共同テレビドラマの質を担保する名物監督・プロデューサーたち
共同テレビのドラマがなぜこれほどまでに高品質であり続けるのか。その答えは、社内に抱える優秀なディレクター(監督)やプロデューサーの存在にある。彼らは局の社員ではなく、制作会社の社員でありながら、作家性の強い独自の演出スタイルを確立し、多くのヒット作を生み出してきた。
その代表格が、星護(ほし まもる)監督である。彼の演出の最大の特徴は、徹底的に計算し尽くされた「映像美」と、現実と非現実の境界を曖昧にするような独特の世界観の構築にある。「世にも奇妙な物語」の数々の名作エピソードを手掛け、その後も「じゃじゃ馬ならし」や「笑ゥせぇるすまん(実写版)」などで異彩を放った。クラシック音楽を効果的に使用したり、シンメトリーな構図を用いたりするスタイリッシュな演出は「星ワールド」と呼ばれ、多くの映像クリエイターに影響を与えている。
もう一人の巨匠が、河野圭太(こうの けいた)監督だ。星監督がスタイリッシュな映像美を得意とするならば、河野監督は泥臭いまでの「人間ドラマ」を緻密に、そして温かく描き出す名人である。「王様のレストラン」や「白い巨塔」(2003年版、共同プロデュース・演出)、そして先述の「僕の歩く道」シリーズなど、登場人物の微細な心理変化を丁寧にすくい取る演出は、俳優陣からも絶大な信頼を寄せられている。群像劇において、キャラクターの一人ひとりに命を吹き込む手腕は日本屈指と言って良いだろう。
また、ディレクターだけでなく、作品の根幹を支えるプロデューサー陣も強力だ。近年でも、現実社会の問題に切り込みつつエンターテインメント性を失わない、熱意あふれるプロデューサーが育っている。共同テレビには「面白いものを作るためなら労力を惜しまない」という職人気質の社風が根付いており、先輩から後輩へとそのDNAが脈々と受け継がれている。これが、時代が変わっても質の高いドラマを生み出し続けられる最大の理由である。
フジテレビだけじゃない!他局での制作実績と近年の動向
共同テレビといえば「フジテレビのドラマ」というイメージが強いが、実はその活躍の場はフジテレビ系列だけにとどまらない。その高い制作能力と確かな実績は他局からも高く評価されており、近年では様々な放送局やプラットフォームで共同テレビ制作のドラマを目にする機会が増えている。
その代表的な成功例が、テレビ東京の深夜ドラマ「孤独のグルメ」シリーズである。松重豊演じる井之頭五郎が、ただひたすらに実在の飲食店で食事をするだけという異色のグルメドラマだが、この番組の「制作協力」として名を連ねているのが共同テレビだ。ドキュメンタリー番組の制作で培った、ロケ地の魅力を引き出す徹底した取材力と、シズル感あふれる食事の映像表現が、この大ヒットシリーズを裏で支えているのである。
また、WOWOWの「連続ドラマW」枠でも、数々の社会派ドラマやサスペンス作品を手掛けている。『しんがり〜山一證券 最後の聖戦〜』などの重厚なテーマを扱う作品では、地上波の制約に縛られない、映画のような骨太な演出が高く評価されている。さらに、NHKのドラマ制作にも携わっており、各局のカラーに合わせた柔軟な制作体制を敷けるのも共同テレビの強みである。
近年は、テレビ離れや動画配信サービスの台頭など、映像業界を取り巻く環境は激変している。しかし、共同テレビはその変化の波に乗り遅れることなく、配信向けオリジナルドラマの制作などにも積極的に進出している。プラットフォームが何であれ、「良質な物語を映像化する」というコアな技術の需要がなくなることはない。むしろ、コンテンツの質がよりシビアに問われる現代において、共同テレビのような確かな技術と実績を持つ制作会社の価値は、かつてなく高まっていると言えるだろう。正確な今後の独占契約先などはわからない部分もあるが、業界内で引く手あまたであることは間違いない。
なぜ面白い?共同テレビが制作するドラマの魅力と独自性
ここまで共同テレビの歴史や代表作、クリエイターについて解説してきたが、結局のところ、なぜ彼らが作るドラマは面白いのだろうか。その魅力と独自性は、大きく3つのポイントに集約される。
第一に、細部まで作り込まれた圧倒的な映像へのこだわりである。前述の星護監督に代表されるように、共同テレビのドラマはカメラワーク、照明、美術セットに至るまで、妥協を許さない職人技が光っている。単に物語を説明するための映像ではなく、映像そのものが雄弁に登場人物の心情やテーマを語りかけてくる。この「映像の力」こそが、視聴者を物語の世界へ没入させる最大の要因である。
第二に、キャスティングの妙と、俳優の潜在的な魅力を引き出す演出力だ。共同テレビの作品では、意外な俳優が意外な役柄を演じ、それが大ハマりするというケースが非常に多い。俳優のイメージを固定化せず、新たな一面を引き出す演出は、現場での緻密なコミュニケーションと、役者に対する深い愛情・リスペクトがあってこそ成り立つものである。
第三に、時代が変わっても色褪せない「普遍的なテーマ」の設定である。「世にも奇妙な物語」で描かれる人間の業や恐怖、「僕の生きる道」で問われる命の尊さ、これらはいつの時代に見ても視聴者の心に突き刺さる。表面的な流行を追うだけでなく、人間の本質的な部分に根ざした物語を作ろうとする姿勢が、10年、20年経っても愛され続ける名作ドラマを生み出しているのである。
共同テレビのドラマには、常に「人間の面白さ、愚かさ、そして愛おしさ」が詰まっている。だからこそ、私たちは彼らの作る物語に引き込まれ、笑い、そして涙するのである。
まとめ
本記事では、「フジテレビドラマの心臓部」とも言える制作会社・共同テレビジョン(共テレ)の歴史や代表作、そしてヒットの裏側にある制作の秘密について詳しく解説してきた。
1958年の設立以来、フジテレビとの強力なタッグにより、「世にも奇妙な物語」「王様のレストラン」「ショムニ」「僕の生きる道」シリーズなど、日本のドラマ史に残る数多の名作ドラマを世に送り出してきた。その成功の背景には、星護や河野圭太をはじめとする、作家性と職人気質を兼ね備えた優秀な監督・プロデューサーたちの存在が不可欠であった。
近年では、テレビ東京の「孤独のグルメ」やWOWOWの社会派ドラマなど、フジテレビ系列の枠を超えてその手腕を発揮しており、動画配信時代においてもその確かな制作力は業界内外から高い評価を受け続けている。共同テレビが作るドラマの最大の魅力は、妥協なき映像美、俳優の新たな魅力を引き出す演出力、そして時代を超えて共感を呼ぶ普遍的なテーマ性にある。
次にあなたが面白いと感じたドラマのエンドロールを見たとき、そこに「制作:共同テレビジョン」の文字を見つけるかもしれない。彼らが培ってきた映像制作のDNAは、これからも私たちの心を震わせる良質なエンターテインメントを生み出し続けてくれるはずだ。
もし、かつての共同テレビ制作の名作ドラマをもう一度見返したくなったなら、現在利用中の動画配信サービスで「世にも奇妙な物語」や「僕シリーズ」などを検索してみてはいかがだろうか? きっと、放送当時とはまた違う新しい発見と感動があなたを待っているはずだ。
