ヤンドク!⑤

REVIEW

第5話 パリピセレブドクターVSヤンキードクター

キャスト

田上湖音波 … 橋本環奈
中田啓介 … 向井理
鈴木颯良 … 宮世琉弥
大友真一 … 音尾琢真
高野ひかり … 馬場徹
松本佳世 … 薄幸(納言)
ソン・リーハン … 許豊凡(INI)
城島麗奈 … 内田理央
鷹山勲 … 大谷亮平
大河原嗣子 … 大塚寧々
田上潮五郎 … 吉田鋼太郎

あらすじ

〇亜里沙の死と中田への疑念
 田上湖音波(橋本環奈)は、岐阜で診察した患者・宮村亜里沙(湯山新菜)のその後を調べ、すでに亡くなっていた事実を知る。1年前、頭蓋咽頭種と診断した湖音波は、都立お台場湾岸医療センターの中田啓介(向井理)へ紹介していた。中田は手術は成功したと説明するが、湖音波の胸には拭えない違和感が残る。一方で中田は事務局長・鷹山勲(大谷亮平)に連絡を入れ、湖音波が死亡を把握したことを報告。静かに不穏な影が広がり始める導入となった。

〇セレブ整形外科医との衝突
 脳神経外科に、整形外科医・岩崎沙羅(宇垣美里)と看護師・佐々木花音(鈴木ゆうか)が一時的に席を移すことになる。SNSで人気の“セレブドクター”である沙羅は、華やかな振る舞いと軽い診療スタイルで周囲を振り回し、湖音波は強い反発を覚える。回診でも医学的説明を省く姿勢に、看護師の鈴木颯良(宮世琉弥)も困惑。価値観の真逆な2人の医師の衝突は、医局内に新たな火種を生む展開となる。

〇真由の異変を見抜く湖音波
 湖音波は、整形外科患者・大橋真由(工藤美桜)がむせ込む様子に違和感を覚え、カルテとMRIを精査。頚椎症ではなく、脊髄動静脈奇形の可能性に気づく。再検査を進言するも、沙羅は越権行為として拒否。しかし大友真一(音尾琢真)の仲介で再検査が実施され、湖音波の見立てが的中する。ところが沙羅は「脳外の案件」と距離を置き、真由は憧れの医師に見放されたような寂しさを抱えるのだった。

〇抱え込みすぎた湖音波の反省
 手術準備を進める湖音波は、経験のない頚椎処置まで自分で担おうとする。しかし看護師・松本佳世(薄幸)が過重な業務に限界を訴え、湖音波は初めて自身の独りよがりに気づく。院長・大河原嗣子(大塚寧々)の助言を受け、湖音波はスタッフ全員に謝罪。さらに沙羅にも協力を要請し、チームで患者を救う体制を整える。孤高のヤンキードクターが、仲間と向き合う重要な転機となる。

〇協力手術と新たな陰謀の影
 真由の手術は湖音波と沙羅の連携により成功。術後、沙羅は自身の挫折と、医療制度を変えるため政財界とつながろうとしている真意を明かす。互いを理解した2人は距離を縮める。一方、パーティで出会った徳永正信(春海四方)が厚労省医政局長だと判明し、湖音波の周囲はさらに騒がしくなる。終盤では、亜里沙の紹介状が改ざんされ証拠隠滅が図られている事実が示され、物語は大きな陰謀編へと踏み込む。

見どころ

〇湖音波と沙羅、真逆の医師像
 本話最大の見どころは、湖音波と神崎の真っ向対立である。心臓を最優先とする合理主義の神崎と、患者の人生全体を救おうとする湖音波。どちらも医師として間違っていないからこそ、議論に強い説得力が生まれている。神崎が初めて声を荒らげる場面はインパクト抜群で、彼の内に秘めた信念が一気に露わになる。単なる対立構図に終わらず、医療の価値観の違いを真正面から描いた濃密な会話劇である。

〇チーム医療への成長ドラマ
 松本の爆発をきっかけに、湖音波が“全部自分でやる”姿勢を見直す展開はシリーズの重要な成長ポイントである。これまでの孤高のヒーロー像から、周囲と協力する医師へと一歩踏み出す姿が描かれ、主人公像に深みが加わった。謝罪シーンや手術での連携描写は、医療ドラマとしてのリアリティと人間ドラマの温度感を両立した見応えのある場面である。

〇ついに動き出した医療ミステリー
 終盤で明かされる紹介状改ざんの事実は、本作の縦軸を大きく前進させる衝撃展開である。これまで有能な上司として描かれてきた中田に疑惑が向けられ、物語は一気にサスペンス色を強めた。1話完結の患者エピソードと、病院の闇を巡る長編ミステリーが有機的に結びつき、今後への期待を大きく高める構成となっている。

感想

 これまで湖音波は一人で突っ走る熱血型の医者だったが、今回はそれからの脱却を描いた回だった。

 松本の悲鳴により、抱え込み体質弱点を自覚し、仲間と向き合う姿勢を見せた湖音波。ありがちな熱血主人公ではなく、チーム医療という現実へ合わせた脚本は良かった。

 また、セレブでインフルエンサー医師で軽さの見えた沙羅だったが、その裏に制度改革への志を秘めていたことが明かされた。それにより彼女の厚みは増したが、患者への向き合い方は正直残念で、現実的に自分ならこの人には看てもらいたくない。

 沙羅の患者である真由。SNS依存と孤独の描写は現代的だし、医療ドラマでありながら社会性も帯びていて見事だなと感じた。

一方、その裏では紹介状改ざんという不穏な動きが出てきている。亜里沙の死の裏に何があって、中田と鷹山がどう関わっているのか?サスペンス色が強まってきた。