第11話 思い出の八分坂
キャスト
久部三成 … 菅田将暉
倖田リカ … 二階堂ふみ
蓬莱省吾 … 神木隆之介
江頭樹里 … 浜辺美波
風呂須太郎 … 小林薫
トニー安藤 … 市原隼人
大瀬六郎 … 戸塚純貴
パトラ鈴木 … アンミカ
毛脛モネ … 秋元才加
朝雄 … 佐藤大空
おばば … 菊地凛子
江頭論平 … 坂東彌十郎
うる爺 … 井上順
伴工作 … 野間口徹
ジェシー才賀 … シルビア・グラブ
乱士郎 … 佳久創
浅野大門 … 野添義弘
浅野フレ … 長野里美
トンちゃん … 富田望生
黒崎 … 小澤雄太
彗星フォルモン … 西村瑞樹(バイきんぐ)
王子はるお … 大水洋介(ラバーガール)
仮歯 … ひょうろく
毛利里奈 … 福井夏
ケントちゃん … 松田慎也
いざなぎダンカン … 小池栄子
あらすじ
○舞台を裂くヤジと男の影
おばばが引いたタロットは塔。久部の運気低下を暗示する不吉なカードだった。WS劇場ではハムレットが上演されるが、久部の思惑とは裏腹に、大瀬の人気ばかりが突出。主役であるはずの久部の立場は、静かに揺らぎ始めていた。
○スター誕生と孤立する演出家
大瀬の登場に客席は熱狂し、取材も彼に集中。アンケートも称賛一色で、久部は苛立ちを隠せない。一方、天上天下ではトロがハムレットを熱演し、久部は内外から居場所を失っていく。
○嘘が生んだ疑心暗鬼
朝雄の絵を台無しにしたのは久部自身だったが、その罪は大瀬に着せられる。さらに是尾の酒代50万円を巡り、久部は金庫から金を持ち出し虚偽の説明を重ねていく。嘘は嘘を呼び、劇団の信頼関係は崩壊していく。
○仮面の下にあった本音
仮面劇という起死回生の案が生まれるが、舞台上で久部が抱きしめた相手はリカではなく樹里だった。その直後、リカは久部を見限り、外の世界へ進む決断を告げる。愛と依存が静かに終わる瞬間だった。
○すべてを失った先で
劇団を解散し、八分坂を去った久部。2年後、街も人も変わり、彼は配達員として生きていた。偶然見た小さな稽古場で、かつての仲間たちが芝居を続けている姿を目にし、久部は再び歩き出す。
見どころ
○転落する演劇の王
理想を掲げ続けた男が、嘘と保身によって自滅していく過程が徹底的に描かれる。才能や情熱だけでは人はついてこないという、厳しい現実が突きつけられる。
○リカという現実
夢を見続ける久部に対し、現実を知るリカは外の世界を選ぶ。彼女の別れは冷酷ではなく、生きるための選択だった。愛と格差、舞台と現実の断絶が最も残酷な形で示される。
○それでも芝居は続く
最後に残ったのは舞台でも劇場でもなく、芝居を愛した記憶。すべてを失った久部が再び走り出すラストは、「楽屋とは何か」という問いへの静かな答えになっている。夢は終わっても、芝居は終わらない。
感想
久部が築き上げたてきたものをすべて失ったのが最終回だった。言いえると久部の終わりでありまた始まりでもある。
これまで芝居の名のもとに情熱を振りかざしてきた久部は、人気や評価に焦り、嘘と保身で仲間を裏切っていく。朝雄の絵を壊した罪を他人に着せ、金の不正を正当化する姿は、痛々しくもあるが人間的でもあった。
樹里の失望、是尾の去就、リカとの離別はどれも切ない。同じ夢を共有していたはずなのにいつのまにかに距離が生まれ同じ舞台にたつことがなくなってしまった。
ラストで全てを失った久部が再びシェイクスピア全集を手にして、自転車を走らせる姿は爽快だった。芝居を愛する心は失われていないし、楽屋とは自分自身の中にある。タイトルの問いかけの答えになっていたように思う。
夢は終わっても芝居はまだ終わらない…。

