絶対零度~情報犯罪緊急捜査~④

REVIEW

第4話 NPO法人に隠された真実

キャスト

二宮奈美 … 沢口靖子
佐生新次郎 … 安田顕
山内徹 … 横山裕
清水紗枝 … 黒島結菜
南方睦郎 … 一ノ瀬颯
田辺智代 … 馬場園梓
掛川啓 … 金田哲
早見浩 … 松角洋平
桐谷カナ … 白本彩奈
桐谷杏子 … 板谷由夏

あらすじ

内部告発者殺害
 南アジアで活動する国際NPO「ヒューマン・フューチャー・ブリッジ(HFB)」職員・与田(佐藤岳人)が、内部告発直前に刺殺された。手口はサバイバルナイフによる一突き。奈美(沢口靖子)は、山内(横山裕)が追うSE連続殺人と同じ犯行様式であることに気づき、事件がどこかで繋がっていると直感する。検視により、3件はいずれも同一犯によるプロの殺し屋の犯行と断定され、凶器の希少ナイフが犯人を絞り込む鍵となる。NPOの寄付金流用疑惑と殺し屋の関係が複雑に絡み合い、大きな組織の存在が浮かび上がる。

怯える経理担当
 奈美と掛川はHFB理事・杉浦(黒沢あすか)に話を聞き、真面目な与田がトラブルを抱えていた形跡がないことを知る。経理スタッフ・絵里子(円井わん)に接触しようとすると拒まれるが、偶然見つけた彼女は怯えた表情を見せる。奈美は母親としての気配に気づき、無理に聞き出さず手紙でのアナログな連絡を選択。だが絵里子はその手紙を捨て、警察に話すことをためらう。彼女は、寄付金が不審な会社へ流れている事実を与田に相談し、その直後に与田が殺されたことで、自分と幼い息子が次に狙われる恐怖に囚われていた。

監視アプリの脅威
 清水はHFBの資金の流れを解析し、背後に新興宗教を利用した悪徳ビジネスの「黒澤ホールディングス」がいることを突き止める。さらに、職員のスマホやPCに監視アプリが仕込まれている可能性を指摘。メールや通話内容、GPSまで把握され、職員が自由に告発できない仕組みが明らかになる。絵里子が奈美に相談しようとした瞬間も、監視役・雪村(三浦健人)に傍受されていた。やがて絵里子のもとに送られてきたのは、息子・太一(橋本則行)の盗撮映像。明白な脅しにより、絵里子は完全に口を閉ざし追い詰められていく。

○殺し屋の正体
 凶器ナイフの購入者から山内は容疑者を洗い、元自衛隊レンジャーの野村(北代高士)にたどり着く。野村は山内に襲いかかり逃走DICTは野村が国際犯罪組織の実行部隊であり、SE殺害はサイバー攻撃に関連する企業の担当者が狙われたと推測。組織は寄付金マネーロンダリングとサイバー攻撃を併せ持つ大規模ネットワークで、HFBはその一端に組み込まれていた。やがて雪村が絵里子の動きを監視し、USBデータを奪うため男を差し向けるが、DICTが駆けつけ男は逮捕。しかしUSBは破壊されてしまう。

○真実を託す母
 奈美の手紙に心を動かされながらも恐怖で揺れる絵里子は、息子を守るため最後の手段として、会計データを紙に書き写し、太一に託して郵送。奈美はその封書を受け取り、杉浦に組織的マネーロンダリングの証拠を突きつける。杉浦は、寄付金流用疑惑によるバッシングで資金難に陥り、犯罪組織に付け込まれ協力した経緯を告白。奈美は、善意の団体を傷つけた責任を指摘しつつ「罪を償い、やり直して」と告げる。雪村も逮捕され、組織の指示役が近づいた矢先…奈美が車に狙われる不穏なラストを迎える。

見どころ

○デジタル監視×母の孤独
 職員のスマホを監視するアプリ、GPS追跡、傍受されるメール。情報犯罪のテーマが最も強く描かれた回。絵里子が警察に相談するだけで命の危険に直結する構造が恐ろしく、現代社会の闇を鋭く突く。母として孤立し、息子を守るため沈黙する絵里子の葛藤が胸に刺さる。

○封書が唯一の安全な通信手段になる逆説
 スマホが完全に監視される世界で、奈美が選んだのは手紙。デジタル全盛の情報犯罪ドラマで、あえてアナログの手紙が真実への突破口になる構図が秀逸。絵里子が最後に母として正しい選択をするドラマ性を強調し、人の心がデジタルに勝つ瞬間として強い印象を残す。

○連続事件が一点に収束
 SE殺害、NPOマネーロンダリング・自衛隊出身の殺し屋・新興宗教系ホールディングス…バラバラに見えた事件が繋がり、一気に巨大な国際犯罪組織の存在が浮かぶ。情報犯罪、資金洗浄、サイバー攻撃が並行して動くスケール感がシリーズ随一。最後の奈美への襲撃で緊張が最高潮に。

感想

 シングルマザー・宮崎絵里子の恐怖と葛藤、そして「母として正しい選択をする」までの心理描写を描いたのが今回の話。

 スマホの監視アプリによって、NPO職員・絵里子が生活のすべてを掌握され、子どもの命まで脅かされていたという構図は、現代社会の脆さだ。

 デジタルに弱みを握られるという描写はリアルだった。

 そんな中で、奈美が絵里子に寄り添う手段として、あえて手紙というアナログを選ぶ展開が印象深い。

 情報化社会への皮肉であり、絵里子の閉ざされた心を開く唯一の道になっていく過程は人間味にあふれていて、個人的には良かった。

 今回の事件、過去のSE殺害事件とつながり、さらに宗教系ホールディングスとも関連するという一本の線が見えてきた。

 そしてラストで奈美に不審な車が接近するシーンは衝撃的。次回の予告では拉致された?ようだが…。