今夜もシリアルキラーと待ち合わせ⑥

REVIEW

第6話 人間を狩るゲーム

キャスト

磯貝史郎 … 横山裕
黒井ヒナタ … 関水渚
牧野信一 … 奥野壮
長谷川梢 … 米倉れいあ
中華料理店「トキ」店主 … 上田航平
桑島直樹 … 大西武志
川田梓 … 小島藤子
佐竹大吾 … 戸田昌宏
鶴岡楓 … 山崎紘菜

あらすじ

○絶望の監禁部屋と迫る釘の脅威
 磯貝(横山裕)とヒナタ(関水渚)が意識を取り戻すと、そこは両腕を重い鎖で拘束された薄暗い空間であった。壁面には不気味な「HumaN HunT」の文字が浮かび上がる。突如として衝撃音が響き渡り、ネイルガンから放たれた釘がヒナタの腕を鋭く突き刺す。激痛に呻く彼女に続き、磯貝の肉体にも容赦なく釘が襲いかかる。暗闇の奥では、人間の苦悶を心から愉しむように、狂気のシリアルキラーである鰐淵(猪塚健太)が笑みを浮かべていた。

○仕掛けられた罠と居場所特定の見抜き
 物陰に身を潜めた磯貝とヒナタの視界に入ったのは、幾本もの釘を身体に撃ち込まれた悲惨な遺体の群れであった。鰐淵は高額なアルバイトを餌に人々を集め、人間の肉体を標的に見立てて狩りを繰り広げる冷酷な殺人鬼だったのだ。身を隠しながら逃げ惑う二人に対し、鰐淵は正確にその位置を把握して追い詰めていく。異様な追尾能力に違和感を抱いた磯貝は、暗闇の中で相手が鏡の反射を利用して居場所を特定しているカラクリを見破る。

○一瞬の死闘と交錯する疑惑
 居場所のカラクリを見破った磯貝とヒナタは、部屋の照明を急激に点灯させて鰐淵の視界を狂わせる作戦に出る。目が眩んだ鰐淵に対し、二人は間一髪で矢を突き刺すことに成功する。そこへ事件の異変を察知した楓(山崎紘菜)が現れ、二人を「謎の通報者」ではないかと追及する。逮捕の危機が迫る中、磯貝たちは消火器の煙を密室内に噴射させて撹乱し、現場からの脱出を果たす。しかし、楓は二人への不信感をさらに強めるのであった。

○深まる不信と束の間の安らぎ
 現場から報告を受けた楓は、廃工場の血痕から今回の事件現場を導き出した旨を上司に説明する。同時に彼女は、事件の情報を事前にリークする謎の通報者のうち一人が警察内部の人間であると確信を深めていく。一方、病院での手当てを終えた磯貝とヒナタは、街中でカプセルトイに立ち寄る。幼い表情でガチャガチャを楽しむヒナタの姿に、磯貝はかつて同じように無邪気な笑顔を見せていた亡き婚約者・梓(小島藤子)の面影を重ね合わせていた。

○受け継がれた想いと密かに迫る陰謀
 ヒナタはカプセルトイから出てきたキーホルダーを取り出し、梓との思い出の品として磯貝へ手渡す。温かなやり取りを経て磯貝と別れたヒナタは、一人で夜道を歩き始める。しかしその直後、彼女の背後に腕を骨折した謎の男が静かに接近していた。人間の命を弄ぶ殺人鬼たちとの死闘を潜り抜けたのも束の間、ヒナタには新たなシリアルキラーの影が忍び寄っており、復讐の旅路はさらに複雑な渦へと巻き込まれていくのだった。

見どころ

○暗闇の死闘と居場所特定の見抜き
 ネイルガンを手に襲いかかる鰐淵の異常性と、鎖で繋がれた極限状態から脱出を試みる攻防が息を呑む緊張感を生んでいる。視界の効かない暗闇で正確に攻撃を命中させてくる敵に対し、ただ逃げるだけでなく「なぜ位置がバレているのか」を観察し、鏡の反射という種明かしに辿り着く磯貝の鋭い洞察力が光る。光を使った一瞬の反撃劇を含め、物理的な恐怖と頭脳戦が融合したサスペンスとして極めて完成度が高い。

○追及の手を強める楓と警察内部の疑惑
 事件現場へと駆けつけた楓が、脱出を図る磯貝とヒナタを追い詰める場面は見逃せない。警察の追跡を間一髪で交わす逃走劇の緊張感に加え、これまでの事件の裏で暗躍してきた「謎の通報者」の正体に楓が迫っていく展開が見事である。通報者の1人が警察内部に潜んでいるという確信に至る過程は、物語全体のミステリー要素を大きく加速させ、登場人物たちの位置関係や立場をより複雑でスリリングなものへ変貌させている。

○ガチャガチャに宿る思い出と二人の距離
 壮絶な拷問部屋から生還した後に訪れる、カプセルトイの前での日常風景が心に残る。楽しそうにカプセルを開けるヒナタの姿に、磯貝が亡き梓の面影を見出す描写は、過酷な復讐劇の中で二人の人間性が垣間見える貴重な瞬間である。ヒナタから磯貝へキーホルダーが渡されるやり取りは、単なる協力関係を超えた心の交流を感じさせると同時に、去り際に現れる新たな怪しい男の存在が、束の間の平和を無慈悲に破壊していく。

感想

 重苦しい監禁部屋からの脱出を試みる磯貝とヒナタ、それに対して襲いかかる鰐淵との攻防線。ネイルガンを乱射する鰐淵は画面越しにもかなりの異常性を感じ、また圧迫感もあった。

 それに怯むことなく磯貝とヒナタが冷静に仕掛けを見破っていく展開にはすっかり見入ってしまった。鏡を使用してや二人の位置を探知したり、照明を利用して目を錯乱し反撃したり、閉ざされた空間だからこそ際立つアイデアだった。

 鰐淵と死闘に勝ったのもつかの間、今度は警察の追跡が目の前に迫るも間一髪で、逃げ切る緊張感。

 手当ての帰りに立ち寄ったガチャガチャの場面は、直前までの凄惨な死闘との対比が鮮烈だっただけにいい余韻を残してくれた。

 ヒナタが見せた無邪気な笑顔に亡き梓の面影を重ねる磯貝の表情には、彼が抱える複雑な感情がにじみ出ていて何とも言えない気持ちになった。

 そして謎の通報者の1人が警察内部の人間であるという疑惑も浮上。さらにヒナタの前に新たなシリアルキラーの影が近づいてくる予感。復讐の道を突き進む二人に不穏さどんどん増していくストーリー構成がたまらない。