クロスロード~救命救急の約束~⑤

REVIEW

第5話 病院震撼!パワハラ&医療事故!?

キャスト

春木遥 … 今田美桜
桐生昴 … 磯村勇斗
渋川輝 … 寛一郎
横峯健斗 … 泉澤祐希
野宮真知 … 小雪
遠山美江 … 赤間麻里子
青山灯… トラウデン直美
桃山武史 … 本多力
高木彰良 … 戸次重幸
権野正造 … 船越英一郎

あらすじ

○パワハラ疑惑と炎上
 横浜湾岸病院のベテラン麻酔科医である権野正造(船越英一郎)にパワハラ疑惑が持ち上がる。元部下で美容整形外科クリニック院長の楠野潤(河相我聞)が、20年前の怒声の録音データをSNSへ投稿したことで炎上。若手救命医の春木遥(今田美桜)や桐生昴(磯村勇斗)が心配する中、救命救急センター長の高木彰良(戸次重幸)から謝罪を要請されるが、権野は拒絶し辞職の瀬戸際に追い込まれる。

○熱意が生む院内の対立
 病院内では別の摩擦が生じる。患者救助を第一に考えるあまり、現場で強く声を荒らげがちな春木の接し方に対し、新人看護師の青山灯(トラウデン直美)が強い反発を示す。人命を守るための純粋な熱意と、相手を追い詰めるような過剰な言動との境目が曖昧になる中、春木と青山の間に生まれた溝は次第に深まり、周囲の医療スタッフにも動揺を広げていく。

○体操少年の急変と真相
 鉄棒から落ちて頭部を酷傷した体操クラブの少年・小田山圭人(三浦綺羅)が搬送されてくる。過酷な練習の中でコーチによる過剰な追い込みがあった事実を突き止め、春木や救急隊員の渋川輝(寛一郎)、警察官の横峯健斗(泉澤祐希)は激怒する。教育指導のあり方に疑問が投げかけられる最中、圭人の容態が突如として急変する事態に陥る。

○命を繋ぐドクターカー
 急変した圭人の緊急手術に加わった権野だったが、普段ではあり得ない手元の異変が露出する。その矢先、権野を告発した楠野のクリニックで命の危険が迫る重大な医療事故が発生する。病院への到着を待っていては手遅れになると判断した桐生らは、ドクターカーを出動させて移動中に合流する決死の緊急搬送作戦へと打って出る。

○指導者としての謝罪
 運ばれた患者の手術に際し、権野は自らの個人的感情を削ぎ落とし、楠野にメスを握らせる。無事に執刀が終わり命が繋ぎ止められた後、権野は楠野に対して頭を下げた。それは告発への降伏ではなく、彼を優れた医師として大成させられなかった自身の不徳に対する詫びであった。患者第一の姿勢が評価され、高木らにより不問に伏される。

見どころ

○現代に問う真の指導
 パワハラという言葉がひとり歩きする現代社会に対し、真の教育や指導とは何かを問いかける展開が見どころだ。厳格な指導がコンプライアンス批判に晒される中、患者の命を救いたいという純粋な熱意と情熱の必要性が鋭く描かれる。権野と楠野の関係性や、春木と青山の衝突を通じて、信頼関係のない指導の虚しさと、現場で求められる真の愛情の形が浮き彫りになっていく。

○緊迫のドクターカー
 時間との戦いの中で展開される緊迫した救命アクションが大きな見どころとなっている。楠野のクリニックで発生した深刻な事故に対し、桐生らがドクターカーを駆使して現場付近で合流し緊急処置を施す場面は息をのむ緊迫感にあふれている。一刻を争う救命の最前線で発揮されるチームプレイの素早さと、命を最優先にする医師たちの迅速な判断力が圧巻である。

○プライドを捨てた決断
 権野が見せる医師としての矜持と葛藤が深い感動を呼ぶ。過去の因縁や自身の不祥事騒動にとらわれず、目の前の患者を救うためにプライドを捨てる決断を下す姿が印象的だ。自分を不当に告発した楠野に執刀させ、手術後に見せる人間味あふれる謝罪のシーンは、単なる善悪を超えた指導者の悔恨と深い愛を感じさせ、心に強く響く。

感想

 ハラスメントと指導のバランスを考えさせられる話だった。20年前の叱責が告発され失職の危機に瀕する権野や熱意ゆえに看護師と衝突する春木の姿はハラスメント対策が重視される現代においては決して他人事ではないリアルな問題だ。

 ただ、20年前のことを今更告発したり、当時の録音データを未だに持っているという点においては、あまり現実味が湧かなかった。

 印象的だったのは、余計な私情や保身をかなぐり捨てて、目の前の命だけに全力を注ぐ医療現場の緊迫感だ。ミスを責め立てるだけでは命は救えない。本当の意味での信頼と技術の継承がいかに重要であるかを痛感させられた。

 また、桐生らがドクターカーで急行して繋いだバトンを受け取り、権野が自分を告発した楠野にあえて執刀として託すシーンは、手に汗握る展開ですごかった。

 手術後に権野が語った謝罪が、パワハラの認諾ではなく、一人前に育て上げられなかった後悔だった点が医師としての深い矜持を感じた。

 そして組織を守り抜く高木のフォローも含め、医療ドラマの域を超えた深い人間ドラマが見られた回だった。