今夜もシリアルキラーと待ち合わせ⑤

REVIEW

第5話 15人分の血痕

キャスト

磯貝史郎 … 横山裕
黒井ヒナタ … 関水渚
牧野信一 … 奥野壮
長谷川梢 … 米倉れいあ
中華料理店「トキ」店主 … 上田航平
桑島直樹 … 大西武志
川田梓 … 小島藤子
佐竹大吾 … 戸田昌宏
鶴岡楓 … 山崎紘菜

あらすじ

○廃工場に残された凄惨な痕跡
 廃工場で15人分の血液が発見される。現場の状況からシリアルキラーによる犯行を疑う磯貝(横山裕)は、ヒナタ(関水渚)とともに非公式の捜査へ乗り出す。間もなく、3カ月前に姿を消した磯貝の知人である丸山拓斗(樋口勇作)の所持品が同所で見つかる。事態の深刻さを認識した二人は、拓斗の足取りを追跡し始める。身寄りのない拓斗は、失踪前に磯貝へ何らかの相談を持ちかけていた事実も明らかになる。

○狂気を宿す男との接触
 拓斗が働いていたアルバイト先に潜り込んだヒナタは、異様な雰囲気を漂わせる鰐淵元(猪塚健太)と遭遇する。ヒナタは意図的に職場の人間たちと接触を図り、鰐淵の手を握った瞬間、彼女の目に「15」という血文字が視認される。これにより鰐淵が15人を殺害した犯人だと特定する。磯貝はこれ以上の被害を防ぐため、鰐淵の標的をヒナタに向けさせるという囮としての作戦を計画し、実行に移していく。

○捜査一課からの刺客
 独自に動く磯貝たちの前に、警視庁捜査一課の鶴岡楓(山崎紘菜)が立ちはだかる。彼女は磯貝のかつての同僚であり、姿を消した彼の婚約者の友人でもある。楓の目的は、警察を出し抜いて通報を繰り返す人物の正体を特定することだった。彼女はすでに、通報者が若者と中年の二人組であるという推論を立てていた。外部の殺人鬼と内部の追跡者という二つの制約が、磯貝とヒナタの行動範囲を極端に狭めていく。

○殺人鬼の真の狙い
 ヒナタは鰐淵の関心を引こうと立ち回るが、彼は全く反応を示さない。当初、鰐淵は体力のある男性を標的にしていると推測されていた。しかし彼の真の目的は、家族が存在せず、行方不明者届が提出されない孤独な人間を狙うことだったと判明する。それを知ったヒナタは、自身も身寄りがない人間であると偽って鰐淵に接近し、新たな仕事を紹介させることに成功する。磯貝はその動向を外部から監視し続ける。

○人間狩りの開幕
 ヒナタを尾行していた磯貝だったが、背後から何者かに矢で射抜かれ意識を失う。なお、現時点で矢を放った人物の正確な情報についてはわからない。彼が目を覚ました場所は、凄惨な痕跡が残る廃工場であった。両腕を重い鎖で拘束されており、傍らには同じく捕らえられたヒナタの姿がある。壁には「HumaN HunT」という文字が書き殴られていた。逃げ場のない空間で、ヒナタの腕に向かってネイルガンから釘が撃ち込まれる。

見どころ

○特殊能力を用いた犯人特定
 ヒナタが自身の持つ「殺害人数を視認する」能力を駆使して鰐淵の正体を暴く描写が挙げられる。職場で意図的に他者との接触を繰り返し、対象を絞り込んでいく過程の行動が克明に描かれる。鰐淵に触れた瞬間に「15」という数字が浮かび上がる演出は、能力の特異性と事態の異常性を同時に視覚化している。能力の使用に伴う危険性を承知の上で、それを実行に移すヒナタの合理的な判断力が、物語の進行を加速させる要素として機能している。

○組織内部からの論理的な追及
 外部の犯罪者のみならず、警察組織からの追跡が磯貝たちを制限する展開である。楓は磯貝の過去を深く知る人物であり、過去の人間関係と現在の職務上の対立が複雑に絡む。彼女が通報者の特徴を的確に分析し、二人の正体に迫っていく過程は、推理劇としての完成度を高めている。身内による論理的な捜査網が構築されることで、非公式に動く主人公たちの立場がいかに脆弱であるかという構造上の問題が明確に示される。

○特異な嗜好の顕在化と暴力
 終盤における廃工場での監禁場面は、本作の持つ暴力的な側面を直接的に表現している。「HumaN HunT」という文字や、ネイルガンを凶器として転用する描写により、鰐淵の逸脱した嗜好が具体的に提示される。主人公二人が身体的な自由を奪われ、一方的に物理的な危害を加えられる状況は、視聴者に強い圧迫感を与える。それまでの知的な情報収集から一転して、物理的な破壊行動の場へと移行する落差が効果的である。

感想

 15人を殺害したシリアルキラー鰐淵が狙うターゲットの基準が、なかなかにえげつない。体力に自信があるというだけでなく、失踪しても探されることのない身寄りのない孤独な人間を選んでいる。

 単なる自分の嗜好だけでない、自分に目が向かないような冷静さも持ち合わせているところに恐怖を感じる。

 さらに、警察側からの追及も並行して描かれる。謎の通報が2人以上で、絵文字から若者と中年の2人と読まれてしまっている。しかも磯貝の過去をよく知る楓が監視役として立ちはだかるのも見ごたえがある。

 終盤、これまでだと潜入したヒナタがあわやという場面で磯貝が助けに入って解決となっていたが、今回は磯貝までもが捕まってしまい、絶体絶命のピンチ。どうやってこの状況から抜け出すのか?今後の展開が気になる。