第3話 遺体の引き取りを拒否する母親を支援せよ
キャスト
黒木夏海 … 小池栄子
白石絵梨子 … 北香那
鴨居卓海 … 岡山天音
桑原栄二 … 荒川良々
中谷健人 … 味方良介
大野裕也 … 濱尾ノリタカ
妹尾和馬 … 利重剛
河口真二郎 … 眞島秀和
五十畑修 … 岡部たかし
不二仁 … 浅野和之
田村貴子 … 戸田恵子
山崎創 … 渡部篤郎
【第3話ゲスト】
笹村綾子 … 神野三鈴
笹村圭 … 柾木玲弥
あらすじ
○謎の死者
池袋のクラブ「アリアス」で、銃声と勘違いされた騒ぎから集団パニックが起こり、笹村圭(柾木玲弥)が圧死する。ところが遺体を確認した母・笹村綾子(神野三鈴)は、女装姿の遺品を見て「息子ではない」と否定する。山梨で介護士として働いていた圭に女装趣味などなかったという綾子の証言を受け、黒木夏海(小池栄子)と白石絵梨子(北香那)は、圭が隠していた一面を調べ始める。
○いくつもの顔
圭がクラブで「ミチル」と名乗り、ロスでデザインの仕事をしていると話していたことが判明する。さらに調査を進めると、パティシエの桜子やセレブの妻、バイオリニストのレイカなど、相手によって異なる人物を演じていたことがわかる。夏海は、圭が反社会的勢力の抗争事件にも関係した雑居ビルに出入りしていた事実を突き止め、犯罪への関与まで疑われる状況になる。
○運び屋の疑い
クラブで騒ぎを起こした男を追う刑事たちは、右腕に蜘蛛のタトゥーがある男・桐山誠吾(松田陸)を割り出す。桐山の部屋から不正資金や薬物取引の痕跡が見つかり、圭も同じ紙袋を持っていたとの証言が出る。絵梨子は、圭が身分を使い分けながら薬物の運び屋をしていた可能性を指摘する。母に伝えるべき事実を前に、夏海と絵梨子の考えも食い違っていく。
○母が知らなかった息子
圭のアパートから大量のスーツケースと女装用の衣装が見つかる一方、桐山の供述から、圭は犯罪目的ではなく女装を楽しむ中で運び屋に利用された可能性が高まる。夏海は圭のノートに残されたハロウィンの記述に注目する。幼い頃、学芸会で魔法使いのおばあさんを演じたことを「うれしかった」と振り返っていた圭。その記憶が、彼の心の奥にあったものを示していた。
○受け止めるということ
綾子は、圭が幼い頃の舞台で褒められたことを思い出す。しかし、父親を見返すためにも「普通の幸せ」を手に入れてほしいと願い、勉強や将来に厳しく接していた。そして3年前、圭から「心は女性だ」と告白された際にも受け入れられず、圭は家を出ていた。夏海は、山梨で介護士として生きた時間も東京で女装して過ごした時間も、どちらも圭自身の人生だったと綾子に伝える。
見どころ
○圭が隠していた人生
夏海は、被害者に寄り添うとは何かを体現する。すぐに正解を与えず、必要な時だけ一歩踏み込む姿勢が美雨の心を開かせる。無理に守るのではなく、相手が立ち上がる余地を残すのが夏海のやり方である。支援者としての線引きと情のバランスがよく、彼女の経験値が物語の説得力になっている。
○母と息子のすれ違い
絵梨子は知識も判断力もあるが、それがそのまま支援に結びつくとは限らない。美雨のスマホを取り上げようとする場面には、正しさが相手の自由を奪う危うさが出ている。夏海との口論を通して、絵梨子はまだ「助ける側」の線引きを学びきれていない。その未熟さが、むしろ人間らしく見える回である。
○夏海の過去が動き始める
終盤では、絵梨子が夏海自身の心の傷にも目を向け始める。娘との別れや失踪した山崎の存在は、これまで断片的に語られてきたが、第3話では夏海自身が向き合うべき問題として浮かび上がる。1話完結の事件だけでなく、シリーズ全体の軸となる物語が大きく前進する回である。
感想
圭が介護士として真面目に働く顔と女装して自分らしく過ごす顔。どちらも彼にとっては偽りではなかった。
しかし、母・綾子は自分の理想を重ねるあまり、その素顔を受け入れることができなかった。結果として、息子が亡くなってから本当の気持ちに気づくという展開に、何とも言えない切なさを感じた。
綾子が幼い頃の圭の学芸会を回想するシーンはとても心に残った。「楽しかった」ではなく「うれしかった」という言葉で、圭が本当に求めていたものにたどり着くストーリーは良かった。
綾子も決して苦しめようとしていたわけではなく、圭にただ幸せになってほしいという親心だったのに、本人の生き方とすれ違ってしまったのが悲しい。
夏海が綾子をそっと抱きしめるシーンもグッときた。何も言わず寄り添うという支援に夏海らしさを感じられた。
終盤にかけて山崎の失踪事件や夏海の過去に関する描写が提示されたが、今後の展開に大きく関わってきそうで、ますます目が離せそうにない。
