第1話 予測不能な船出
キャスト
磯貝史郎 … 横山裕
黒井ヒナタ … 関水渚
牧野信一 … 奥野壮
長谷川梢 … 米倉れいあ
中華料理店「トキ」店主 … 上田航平
桑島直樹 … 大西武志
川田梓 … 小島藤子
佐竹大吾 … 戸田昌宏
鶴岡楓 … 山崎紘菜
あらすじ
○匿名メールが導いた逮捕
池袋南署管内で女性3人を殺害し、被害者の髪を戦利品として保存していた連続殺人鬼が逮捕される。事件解決の端緒となったのは、「連続殺人犯を捕まえた。あとはよろしく」という匿名メールであった。生活安全課の巡査部長・磯貝史郎(横山裕)は、この通報者こそが過去の凶悪事件にも関わっている謎の通報者ではないかと疑い、正体を追い始める。
○ポケットティッシュの共通点
かつて刑事課のエースだった磯貝は、3年前のある事件を境に一匹狼となっていた。彼は現場写真の片隅に写り込んでいたポケットティッシュに奇妙な共通点を見いだす。さらにSNSの目撃情報を追うことで、ティッシュ配りの天使と呼ばれる黒井ヒナタ(関水渚)へとたどり着く。
○ヒナタの危険な接触
周囲から「パパ活女子」と噂されていたヒナタは、怪しげな中年男性に接近していた。白杖を持つその男に道案内を申し出た彼女には、殺人鬼に触れると殺害人数が見えるという特殊な能力があった。男に「5」という数字を見たヒナタは確信を深めるが、実は男は視覚障害者を装っていただけだった。正体を見抜かれたヒナタはスタンガンで襲われ、拘束されてしまう。彼女が自ら危険な獲物に近づいていた理由が、ここで明らかになる。
○石膏部屋からの救出
拘束されたヒナタは、男の隠れ家で石膏の材料を前に絶体絶命の状況に追い込まれる。そこへ踏み込んできたのが磯貝であった。間一髪で彼女を救出した磯貝は、ヒナタこそ匿名メールを送り続けてきた謎の通報者だと突きつける。ヒナタは否定しきれず、二人の間に緊張が走る。単なる容疑者と警察官の関係ではなく、互いに危険な秘密を抱えた者同士であることが、この救出劇を通して浮き彫りになっていく。
○危険な共犯関係の始まり
磯貝はヒナタに「俺と組まないか」と持ちかける。婚約者を殺人鬼に奪われた磯貝は、犯人を必ず見つけ出し自らの手で裁くと誓っていた。一方で、ヒナタにも殺人鬼を追う個人的な事情があると彼は見抜いていた。利害が一致した二人は、表向きは警察と情報提供者、実際には復讐を目的とした危うい共犯関係を結ぶ。刑事と異能の持ち主による危険な「待ち合わせ」が、ここから始まるのである。
見どころ
○ヒナタの危険な能力
ヒナタが殺人鬼に触れることで「殺した人数」が見えるという設定は、単なる特殊能力にとどまらない。彼女が相手に近づくたびに、その数字が何を意味するのか観る側は息をのむことになる。白杖の男に見えた「5」という数字が、彼女を危険へ踏み込ませる決定打となる展開は鮮烈だ。能力を持つ者が優位に立つのではなく、むしろ能力ゆえに死地へ引き寄せられていく構図が、第1話の大きな魅力である。
○磯貝の執念と影
磯貝は生活安全課に所属しながら、刑事時代の鋭い観察眼を失っていない。現場写真の片隅にあるポケットティッシュからヒナタへたどり着く過程は、彼の捜査能力の高さを示している。同時に、婚約者を殺された過去が彼を突き動かしており、その執念は警察官としての一線を越えかねない危うさを帯びている。正義と復讐の境界で揺れる人物像が、物語全体に重い陰影を与えている。
○共犯関係成立の瞬間
終盤、磯貝がヒナタに「俺と組まないか」と告げる場面は、第1話最大の転換点である。刑事が異能の持ち主と手を組み、しかも目的が「復讐」であるという宣言は、通常の刑事ドラマとは異なる方向性を明確に打ち出している。互いに相手を完全には信用していないにもかかわらず、共通の敵を追うために協力する。その不安定な同盟関係が、今後どのように変質していくのか期待を抱かせる締めくくりとなっている。
感想
復讐に燃える刑事・磯貝と謎に満ちた異能の持ち主・ヒナタの危うすぎる能力。この2つの要素が交差することで、よくある事件解決モノとが違い、終始ヒリヒリとした緊張感が漂っていた。
特にヒナタが自ら殺人鬼のターゲットになりすまして接触を測るシーン。能力を使って相手の心理を見抜く描写は不気味さが漂う。そして一歩間違えれば自分が殺されるという生々しいリスクが常に伝わってきて、白杖の男性との一連のやり取りはドキドキの展開だった。
一方の磯貝、冷静な観察力と復讐心を併せ持つキャラクターとしてうまく描かれていた。婚約者を失ったという過去とがありながら、それをむき出しにせず、静かな執念として表現する演技が良かった。
現場写真のポケットティッシュという小さな手がかりからヒナタにたどり着くプロセスも、刑事モノとして説得力があった。
ラスト、2人が共犯関係を結ぶ展開はよくある王道のバディものとは一線を画す危うさがあってゾクゾクする。
ヒナタの過去や能力の背景など謎は多いが、だからこそ興味をひかれた。今後の展開に期待。
