今夜、秘密のキッチンで⑦

REVIEW

第7話 封印したはずの想い…甦る記憶!!

キャスト

坪倉あゆみ … 木南晴夏
Kei … 高杉真宙
小椋藤子 … 瀧本美織
吉野舞 … 佐津川愛美
長峰里佳 … 月城かなと
小林達也 … 森優作
篠塚拓実 … 草川拓弥
加藤亮介… YU
鈴木小春 … 白本彩奈
坪倉陽菜 … 吉田萌果
鈴木林太郎 … 安井順平
坪倉京子 … 筒井真理子
坪倉渉 … 中村俊介

あらすじ

再会の余韻と父の願い
 坪倉あゆみ(木南晴夏)は、陽菜(吉田萌果)の体調改善のために通い始めた薬膳教室で若林慧(高杉真宙)と再会する。慧はあゆみとの記憶を失ったままだが、彼と同じ空間にいられるだけで十分だと自らに言い聞かせる。一方、隣人の幽霊・鈴木林太郎(安井順平)は、娘・小春(白本彩奈)のために残された心残りを解消しようと決意する。三年前、小春の誕生日当日に口論したまま事故死してしまった林太郎は、娘が今も抱える後悔を知り、それを取り除きたいと願う。あゆみはその思いに寄り添い、小春との距離を縮めていくのである。

坪倉家を巡る不穏な動き
 あゆみの周囲では、坪倉家を取り巻く不穏な空気が強まっていた。渉(中村俊介)は秘書の小林達也(森優作)に例の件の決着を急がせ、慧と接触するよう命じる。一方で、加藤亮介(YU)は坪倉グループの物流センターで保管されている食材に違和感を覚えていた。そこへ記者の長峰里佳(月城かなと)が現れ、仕入れルートについて調査を始める。さらに京子(筒井真理子)は、坪倉グループに関する問題を報道機関が探っていることを渉へ警告する。表面上は平穏に見える家族の裏側で、隠されていた問題が少しずつ輪郭を見せ始めるのである。

消えない既視感
 買い物帰りに偶然再会したあゆみと慧は、一緒に散歩をする時間を過ごす。あゆみは心を揺らさないためにも、Keiが残したレシピノートを返そうと決意する。しかし薬膳教室で隣に立つあゆみを見た慧は、説明できない既視感に襲われる。どこかで会ったことがあるのではないかと問いかける慧に対し、あゆみは人違いだと答えるしかない。その様子を目撃した藤子(瀧本美織)は不安を募らせる。一方の慧もまた、あゆみの笑顔やキッチンの光景が断片的によみがえり、自分が忘れている大切な何かの存在を意識し始めるのであった。

○小春の誕生日
 父娘のわだかまりが解けたことで、林太郎は静かに成仏する。その後、慧はあゆみに薬膳レッスンへの協力を求めるが、あゆみは再び気持ちが動いてしまうことを恐れて教室を飛び出してしまう。さらに藤子から、三カ月後に控えた結婚への切実な思いを打ち明けられ、あゆみは自ら身を引く覚悟を固める。そして夜、レシピノートを教室へ置いて立ち去る。しかしノートを開いた瞬間、慧の中で封じられていた記憶が一気によみがえった。月夜のキッチンで過ごした時間、あゆみとの思い出、そのすべてが慧の胸に戻ってくるのである。

○よみがえる記憶
 父娘のわだかまりが解けたことで、林太郎は静かに成仏する。その後、慧はあゆみに薬膳レッスンへの協力を求めるが、あゆみは再び気持ちが動いてしまうことを恐れて教室を飛び出してしまう。さらに藤子から、三ヵ月後に控えた結婚への切実な思いを打ち明けられ、あゆみは自ら身を引く覚悟を固める。そして夜、レシピノートを教室へ置いて立ち去る。しかしノートを開いた瞬間、慧の中で封じられていた記憶が一気によみがえった。月夜のキッチンで過ごした時間、あゆみとの思い出、そのすべてが慧の胸に戻ってくるのである。

見どころ

○林太郎親子の感動的な決着
 中心となるのは林太郎と小春の物語である。死によって断ち切られた親子の時間が、あゆみを介してようやくつながる。派手な演出ではなく、伝えられなかった気持ちを一つずつ受け渡していく過程が丁寧に描かれ、感動的なエピソードとなっている。

○慧の記憶回復への積み重ね
 慧が突然思い出すのではなく、既視感や感情の揺れを少しずつ積み重ねながら記憶へ近づいていく描写が見どころである。料理をする時間やあゆみの存在が無意識に彼を引き寄せていく構成は説得力があり、終盤の記憶回復に影響を与えている。

○恋と現実の板挟み
 あゆみ、慧、藤子の三人が抱える感情が複雑に交差する回でもある。あゆみは忘れられず、慧は思い出しかけ、藤子は失いたくない。その誰もが間違っていないからこそ苦しい。単純な恋愛ドラマでは描けない切実さが、本話全体を支配している。

感想

 林太郎と小春の再生の物語として心に残る話だった。娘の誕生日に事故死というのもなかなか強烈だったが、親子だからこそ言えない言葉や、すれ違ってしまう不器用な優しさが何とも切ない。

 竹輪入りのナポリタンから誕生日ケーキを囲んでろうそくを吹き消すまでの流れは良かった。後悔と赦しを静かに描いていて胸に刺さった。見事な演出だったと思う。

 そして慧とあゆみの関係も目が離せない。記憶を失っていても慧があゆみに惹かれてしまう姿には運命なのかもしれない。

 その一方で藤子のために身を引こうとするあゆみは哀しい。誰が悪いわけでもなく、それぞれの切実な想いが見ていて苦しく感じる。

 ラストでレシピノートによってあゆみとの記憶を思い出した慧。彼が何を選ぶのか、藤子との婚約はどうなるのか、あゆみはどう向き合うのか。

 記憶回復のクライマックスを最後にもってくるとはずるい。次回への期待を強く抱かせる締めくくりだった。