第6話 開発が中止に!夢破れ壊れる友情。その時、先生は?
キャスト
朝野峻一 … 北村匠海
井畑雄介 … 荒木飛羽★
佐伯健人 … 市原匠悟★
宮井恵 … 早瀬憩
早川樹生 … 中川翼
桑田実桜 … 足川結珠
菅原奈未 … 出口夏希
寺尾創亮 … 黒崎煌代
木村流空 … 山下永玖
菊池遥香 … 西本まりん
福原凪沙… 夏目透羽
佐々木柚希 … ゆめぽて
寺尾瑠夏 … 吉本実由
田所明正 … 八嶋智人
浜中道夫 … 三宅弘城
浜中和子 … 村川絵梨
百瀬弦 … 佐戸井けん太
檜山香織 … 熊切あさ美
皆川有紀 … ソニン
寺尾茂信… 迫田孝也
東口亮治 … 鈴木浩介
黒瀬正樹 … 荒川良々
木島真 … 神木隆之介
★は在校生、3期生
あらすじ
○夢を失った生徒たち
2012年、廃校が既定路線となった若狭水産高校では、生徒たちの間に諦めの空気が広がっていた。教師の朝野峻一(北村匠海)は、喫煙問題を起こした井畑雄介(荒木飛羽)と向き合うが、井畑は「どうせ廃校になる学校を卒業しても意味がない」と投げやりな態度を見せる。宇宙食プロジェクトも縮小され、生徒が自由に研究テーマを選べる実習制度は廃止。かつて学校を支えていた挑戦の文化は失われつつあった。そんな中、東日本大震災の被災地支援ボランティアについて発表する佐伯健人(市原匠悟)の姿だけが、未来へ向かう意志をかろうじて保っていた。閉塞感の漂う校内で、朝野は生徒たちの心に再び火を灯そうと模索するのである。
○すれ違う幼なじみ
井畑と佐伯は幼い頃からの親友であり、皆川有紀(ソニン)の講演を聞いて宇宙サバ缶作りに憧れ、共に若狭水産高校へ進学した仲だった。しかし2011年の東日本大震災を境に状況は一変する。母親が被災地へ向かったことで孤独を抱えた井畑は、学校の実習制度廃止にも失望し、自暴自棄になっていった。一方の佐伯は、夢を捨てず宇宙サバ缶を災害食へ応用する研究を続けようとする。その前向きな姿勢が、逆に井畑の劣等感を刺激してしまう。宇宙への夢を共有していたはずの二人は、同じ出来事を見ながら全く違う方向へ進んでしまったのである。友情と嫉妬が複雑に絡み合う描写が胸に迫る。
○黒ノートに託された願い
宇宙サバ缶を諦めきれない佐伯は、朝野の協力を得ながら研究を続ける。卒業生となった寺尾創亮(黒崎煌代)も快くサバを提供し、プロジェクトを後押しする。しかし井畑は、その取り組みに反発し続ける。感情をぶつけ合う中で、井畑は思わず先輩たちが残した“黒ノート”を投げ捨ててしまう。だがその行動の裏には、本当は夢を諦めたくないという苦しみがあった。黒ノートは単なる研究記録ではなく、歴代の生徒たちが未来へ託した希望そのものである。夢が断絶したように見える状況の中でも、その記録は確かに次の世代をつなぎ止めていたのである。
○弱さを認める勇気
不良仲間との付き合いや万引き騒動を経て、井畑はますます追い詰められていく。しかし黒瀬正樹(荒川良々)との対話が転機となる。井畑は、自分が佐伯を嫌っているのではなく、自分にはできないことを成し遂げようとする佐伯への嫉妬や劣等感に苦しんでいたことを打ち明ける。黒瀬は、弱さを認められる人間こそ強いのだと語る。その言葉を受けた井畑は、自宅で小学生時代に佐伯と書いたノートを読み返す。そこには「銀河一の宇宙サバ缶を作る」という無邪気で真っすぐな夢が記されていた。涙を流しながら過去と向き合う姿は、本話屈指の名場面である。
○再び動き出した宇宙サバ缶
その頃、JAXAでは木島真(神木隆之介)が宇宙食の輸送基準変更を受け、これまで認められなかった丸缶も使用可能になることを朝野へ知らせる。宇宙サバ缶実現への道が再び開かれたのである。知らせを聞いた佐伯は井畑を誘い、改めて一緒に夢を追おうと呼びかける。井畑も「やるに決まっとるやろ」と応え、二人はクラスメイトたちへ協力を求める。仲間たちの力を借りながらサンプル作りに成功し、その成果はJAXAへ託された。そして卒業後、学校は若狭小浜高校海洋科学科として存続することが決定。新たな時代の始まりを迎えた朝野の前には、創亮の妹・瑠夏(伊東蒼)が現れ、新たな物語の幕開けを予感させるのである。
見どころ
○井畑と佐伯の友情の再生
核となるのは、幼なじみである井畑と佐伯の関係である。同じ夢を見ていた幼なじみが、震災や学校の事情によって異なる道を歩み、ついには絶交状態にまで至る。しかし物語は単純な仲直りでは終わらない。井畑が抱えていた嫉妬や劣等感を丁寧に掘り下げ、その感情を認める過程を描いたことで再会の場面に説得力が生まれた。特に「僕は井畑くんと一緒にやるからおもろいんや」という佐伯の言葉は、宇宙サバ缶以上に二人の友情そのものを取り戻す決定打となっている。青春ドラマとして非常に見応えのある人間ドラマであった。
○黒瀬の教師としての存在感
これまで厳しい現実を突きつける役回りが多かった黒瀬だが、本話では井畑の心を救う重要な存在となる。「自分の弱さと向き合えるのはすごいことやと思う」という言葉は、説教でも励ましでもなく、相手を一人の人間として認める視線に満ちている。朝野が理想を信じ続ける教師なら、黒瀬は現実を知りながらも生徒を見捨てない教師である。その対照的な在り方が際立ち、長く学校を支えてきた人物ならではの重みを感じさせた。黒瀬というキャラクターの魅力が改めて浮かび上がる回である。
○夢が再び未来へつながる瞬間
廃校危機や震災によって何度も途切れそうになった宇宙サバ缶の夢が、再び動き出す終盤は大きな見どころである。JAXAの基準変更によって丸缶にも可能性が生まれた展開は、単なるご都合主義ではなく、長年挑戦を続けてきた人々への小さなご褒美のように映る。そして何より重要なのは、完成ではなく継承が描かれた点だ。井畑や佐伯が卒業しても夢は終わらず、新たな世代へ受け継がれていく。宇宙を目指す物語でありながら、実際には人から人へ受け継がれる希望の物語であることを改めて実感させる。
感想
夢を失った人間が再び立ち上がるまでを描き、サバ缶開発色は薄めだった。今回、スポットが当たったのは井畑と佐伯。特に井畑の心理描写がリアルで心に刺さった。
震災による家庭の変化や廃校問題で自分ではどうしようもなく夢を失ってしまう。前へ進めず自分だけが置いていかれている劣等感。誰しも一度は同じような経験があらうのではなかろうか。
そんな井畑を救ったのが黒瀬。本音を引き出し、弱さを認めることの大切さを静かに伝える場面は、このドラマ特有の包容力があった。そして、黒瀬の教師としての存在感が際立ったシーンだった。
もう一人の主人公・佐伯もについても不安を抱えながらも前進し続ける存在として描かれていた点も良かった。夢を継ぐ者と夢から逃げた者の対比になっていた。
再び同じ夢を追うことになった二人。だが、問題は山積みでこの先どう展開していくのだろうかと期待と不安が入り混じっていた。
しかし、終盤、JAXAの基準変更に学校は統合により存続と一気に急展開。かなり駆け足状態だったことを思うと今話の本丸は挫折や喪失から再び夢を共有できる仲間を取り戻すことだったのだろう。
