全領域異常解決室⑧

REVIEW

第8話 人間の罪✕神の暴走 犯したタブー

キャスト

興玉雅 … 藤原竜也
雨野小夢 … 広瀬アリス
直毘吉道 … 柿澤勇人
豊玉妃花 … 福本莉子
北野天馬 … 小宮璃央
二宮のの子 … 成海璃子
芹田正彦 … 迫田孝也
荒波健吾 … ユースケ・サンタマリア
宇喜之民生 … 小日向文世

【第8話ゲスト】
佃未世 … 石田ひかり
佃恵真 … 太田夢莉
遥香 … 宍戸美和子
高橋亘来 … 水石亜飛夢
寿正 … 野間口徹

あらすじ

○餓死事件と月読命への疑惑
 興玉雅(藤原竜也)ら「全領域異常解決室」は、相次いで発生した不可解な餓死事件を追っていた。被害者たちは互いに接点を持たないにもかかわらず、全員の腕時計が狂っていたうえ、防犯カメラには同じ女性の姿が映り込んでいた。その人物は、スナック「ナイトムーン」を営む佃未世(石田ひかり)だった。佃の正体が月読命であると知る興玉と宇喜之民生(小日向文世)は、彼女が時間を操る力で人を餓死させた可能性を疑う。一方、荒波健吾(ユースケ・サンタマリア)は「全決」の説明を半信半疑ながら受け入れ、神絡みの事件が現実味を帯び始めていく。

○炎上が奪った娘の命
 雨野小夢(広瀬アリス)と興玉は、佃が営む店を訪れ、チーママの片岡遥香(宍戸美和公)から彼女の過去を聞く。佃には恵真(太田夢莉)という娘がいた。会計士を目指しながら懸命に働いていた恵真は、ラウンジ嬢の炎上動画事件に巻き込まれ、無関係でありながら犯人としてSNSで晒されてしまう。住所や勤務先まで拡散され、佃の店にも嫌がらせが続いた。追い詰められた恵真は命を絶つ。匿名の悪意が一人の人生を壊し、母親の心まで蝕んでいく過程が、静かな怒りを伴って描かれる回である。

○ヒルコが与えた復讐
 佃は娘を追い込んだ人物たちを突き止めようと開示請求を行うが、海外サーバー経由の投稿などに阻まれ、核心へ辿り着けずにいた。そんな彼女に接触したのがヒルコだった。ヒルコは、恵真を中傷した人間たちの情報を渡す代わりに、人魚のミイラを蘇らせるよう要求する。佃はその条件を受け入れ、不老不死のカプセル開発に手を貸していたことが明らかになる。やがて被害者4人と、最後に狙われる高橋亘来(水石亜飛夢)が、いずれも恵真への誹謗中傷に関わっていたことが判明。復讐に飲み込まれていく佃の姿には、単純な善悪では割り切れない痛みが滲んでいた。

○天石戸別神の正体
 局長会議の結果、月読命である佃の黄泉送りが決定される。天石戸別神がその執行を行うと聞かされ、小夢たちは「全決」から退去することになる。しかし22時、独房に現れたのは意外にも興玉だった。彼こそが黄泉戸を守る神・天石戸別神であり、これまで興玉神を名乗っていたのは正体を隠すためだったのである。神々の均衡を守る存在としての重責が、ついに明かされる瞬間だった。だがその場へ荒波と二宮のの子(成海璃子)が踏み込み、事態は混乱。佃は逃亡し、運命はさらに残酷な方向へ転がっていく。

○月読命、最後の選択
 逃亡した佃は、ヒルコから送られてきた情報を頼りに高橋の元へ向かう。しかし待っていたのは逆襲だった。高橋は「ヒルコから狙われていると聞いた」と語り、佃をナイフで刺して逃走する。駆けつけた豊玉妃花(福本莉子)が止血を試みるも、傷は深かった。自らの死を悟った佃は、自分自身に事戸を渡す。神としての存在ごと消滅していく佃を前に、小夢は泣き崩れるしかなかった。さらにその裏で、寿正(野間口徹)は宇喜之に「天石戸別神を消してください」と告げる。物語は、神同士の全面対立へと踏み込んでいく。

見どころ

○SNS社会への鋭い切り込み
 最も重く響くのは、恵真の炎上事件である。誰かが放った根拠のない一言が、SNSで増幅され、事実として固定化されていく恐ろしさが生々しい。しかも加害者たちは、軽い気持ちで投稿しただけだと言い逃れする。佃が怒りを抱えるのは当然であり、視聴者も彼女を単純には責めきれない構造になっている。妖怪や神の物語を扱いながら、現代社会の匿名性や無責任な暴力を真正面から描いた脚本は鋭かった。単なる怪異ミステリーではなく、人間の悪意そのものが怪物なのだと突きつけてくる回である。

○興玉の正体が明かされる衝撃
 これまで飄々としていた興玉が、実は黄泉戸を守る最重要神・天石戸別神だったという事実は最大の転換点である。彼が軽薄そうに振る舞っていた裏に、神々の存亡を背負う孤独な役目が隠されていたことが分かり、キャラクターの見え方が一変する。特に、独房で佃に向き合う場面は静かな迫力があった。相手を裁かなければならない苦しさと、それでも役目から逃げない覚悟が同居している。藤原竜也の抑えた芝居が、興玉という存在の奥行きを一気に押し広げた印象的なシーンである。

○月読命・佃未世の悲劇
 佃未世というキャラクターは、この回で完全に悲劇の人物として完成した。娘を失い、法にも社会にも救われず、最後はヒルコに利用される。だが彼女は最初から邪悪だったわけではない。恵真を愛する母親だったからこそ、復讐へ傾いてしまったのである。最後、自ら事戸を渡して消滅する場面には、神としての誇りと母親としての絶望が同時に宿っていた。石田ひかりの静かな演技が、派手な演出以上の余韻を残している。怪異よりも、人の喪失感の方が恐ろしく感じられるエピソードだった。

感想

 神ではなくなったものの小夢の命を何とか救うために尽力をしたのが月読命である佃未世。

 彼女は人間の娘のために他の神々を裏切り、人魚のミイラを蘇らせたり天石戸別神の正体を教えたりと寿に協力。最後は自分自身でで事戸を渡して消滅。

 自分自身で事戸を渡すことが出来るんだと思いつつも、これって人間で言うところの自殺?神が自殺しては駄目だろうと思うし、何か人間みたいで少し戸惑い気味。

 ところで神の一柱である月読命をナイフで刺した高橋。神々の間で、この人間の処遇ってどうなるのかが気になる。気持ち的には殉職で仲間を失った警察官みたいな感じなのかなと思う。

 人を刺した上にケリは入れるは踏みつけるはでクズ過ぎない?演出的にこの高橋、さらには野間口徹演じる寿正を憎ませようと感じなんだろう。でも冷静に考えると寿って何者のなの?

 恐らく天石戸別神が現れるタイミングで全決へ荒波と二宮を向かわせたのも絡んでいるだろうし、月読命に関しても使い捨てって感じでなんだろうね。

 さらに宇喜之までも。ヒルコは一体誰なのか?そして目的は?という疑問はあるけれど、それよりも一番興味深いのは寿。彼の一体何者?ヒルコ?正体が気になって仕方がない。