全領域異常解決室⑥

REVIEW

第6話 神VS神 全面戦争! ここですべてがつながった

キャスト

興玉雅 … 藤原竜也
雨野小夢 … 広瀬アリス
直毘吉道 … 柿澤勇人
豊玉妃花 … 福本莉子
北野天馬 … 小宮璃央
二宮のの子 … 成海璃子
芹田正彦 … 迫田孝也
荒波健吾 … ユースケ・サンタマリア
宇喜之民生 … 小日向文世

【第6話ゲスト】
大隈邦男 … 吉田綱太郎
八代路子 … 原日出子
犬塚真澄 … 関まぐみ
藤井優希 … 平塚千瑛
藤井優希の夫 … 増田雄二

あらすじ

○神々の正体が暴かれる転換点
 「全領域異常解決室」の室長代理・興玉雅(藤原竜也)は、雨野小夢(広瀬アリス)に対し、この世界には神々が人間の姿で暮らしていると明かす。豊玉妃花(福本莉子)は水を操る豊玉毘売命であり、宇喜之民生(小日向文世)は食物神・宇迦之御魂神、芹田正彦(迫田孝也)は猿田毘古神だという説明は、小夢にとって常識を根底から覆す内容であった。さらに、神々は転生を繰り返しながら記憶を受け継ぎ、人知れず世界を支えていることも判明する。これまで超常現象として描かれてきた事件群が、実は“神同士の戦い”だったと示され、物語は刑事ドラマから神話サスペンスへと大きく舵を切る。小夢は戸惑いながらも、自分が今まで見てきた不可解な現象の意味を理解し始めるのである。

○消えた神々とヒルコの脅威
 興玉は、これまで発生してきた「神隠し事件」の被害者たちが、単なる人間ではなく重要な神々だったと説明する。神が「事戸渡」という儀式を受けたうえで死ぬと、魂ごと消滅し、転生もできなくなる。つまりヒルコは、神そのものを世界から消し去ろうとしている存在だったのである。神が減れば秩序は崩れ、社会は荒廃する――その危機感こそが「全決」の原動力であった。小夢は、不可思議な事件を穏便に収めるだけの部署だと思っていた「全決」が、実際には世界の均衡を守る最後の砦であると知る。豊玉は、ヒルコをおびき出すためにあえて騒動を拡大させていたと語り、これまでの挑発的な行動にも意味があったことが明かされる。敵の存在が抽象的な都市伝説から、現実の脅威へ変わった回である。

○犬神の呪いと美容インフルエンサー連続死
 美容系インフルエンサーたちが過食による窒息死を遂げる異常事件が発生し、ヒルコは「犬神の呪い」による犯行だと声明を出す。被害者の部屋からは共通してピンク色のサプリが見つかり、興玉は“犬神筋”と呼ばれる呪術系統の関与を疑う。捜査を進めるうちに、被害者たちが美容整形外科医・大隈邦男(吉田鋼太郎)のクリニックに通っていたことが判明。大隈は怪我や病を治す能力を持つ大国主神であり、病床で死を待つ状態にあった。彼の現在の伴侶・犬塚真澄(関めぐみ)は、人魚伝説を利用した“不老不死”研究に執着していた。人魚のミイラを混ぜたサプリを使い、若さへの欲望を刺激する展開は、美容と承認欲求が結びついた現代的な恐怖として描かれている。

○八百比丘尼の悲恋
 事件の裏では、大隈の元パートナー・八代路子(原日出子)が暗躍していた。路子は犬塚の本性を暴こうとし、人魚研究をあえて加速させていたのである。しかし、その計画を背後で操っていたのはヒルコだった。犬塚は拘束されるが、興玉は彼女の戸籍から昭和12年生まれである事実を確認し、彼女こそ伝説の八百比丘尼だと見抜く。犬塚はすでに人魚の肉を食べ、不老不死となっていたのだ。彼女が研究に執着した理由は、愛する大隈を救いたい一心だった。90年という長い時を生きながら、それでもなお愛する者を失う苦しみを背負う犬塚の姿には、妖異としての不気味さより、人間的な孤独が滲む。神は転生できても、人間は老いて死ぬ。その非対称な愛が切実に描かれていた。

○小夢、自らの正体に辿り着く
 事件解決後、「全決」の面々が今後について話し合うなか、小夢はふいに芹田へ「あなたは今でも私の夫なんですか?」と問いかける。その瞬間、自分でも理解できない記憶が胸に蘇る。周囲の反応から、小夢は自分が天宇受売命であると確信するのであった。これまで一般人として視聴者と同じ立場にいた小夢が、実は神の一柱だったという展開は、第6話最大の転換点である。興玉たちが隠してきた世界へ、ついに小夢自身が踏み込んだ瞬間でもあった。彼女が神としての記憶をどこまで取り戻すのか、そしてヒルコとの戦いにどのように関わっていくのか。物語は“超常現象を追う人間”の視点から、神々の運命そのものへと変貌していく。

見どころ

○世界観が一変する神話設定の開示
 最大の魅力は、シリーズ前半で積み上げてきた謎を一気に神話へ接続した大胆さにある。豊玉や宇喜之たちが実在の神であると判明し、これまで断片的だった超常現象が一本の線で繋がっていく快感は非常に大きい。しかも説明一辺倒にならず、興玉が静かに事実を語ることで、不気味さと神秘性が保たれている点も巧みである。刑事ドラマ、都市伝説ホラー、ミステリーとして見えていた作品が、実は日本神話を土台にした壮大な物語だったと判明する衝撃は強烈で、シリーズの見え方そのものを変えてしまう回であった。

○吉田鋼太郎と関めぐみが生む哀切
 大隈と犬塚の関係性は、第6話に濃厚な情感を与えている。大隈を演じる吉田鋼太郎は、神でありながら老いと死を受け入れる男の静かな疲労感を滲ませ、短い出番でも強い余韻を残した。一方、関めぐみ演じる犬塚は、狂気じみた研究者としての顔と、愛する人を救いたいだけの女性としての顔を往復する。特に、大隈の死を知った後に涙を流す場面には、長寿ゆえの孤独と絶望が凝縮されていた。不老不死という題材を単なる怪異では終わらせず、愛する人を看取り続ける苦しみへ落とし込んだ点が秀逸である。

○小夢の覚醒がもたらす新章感
 終盤、小夢が自分の正体に気づく場面は、締めとして極めて強い引きを持っている。これまで常識人として視聴者目線を担ってきた小夢が、実は神であったという事実により、彼女のこれまでの行動や感覚にも新たな意味が生まれる。広瀬アリスは、驚きと恐怖、そしてどこか納得してしまう感覚を自然に同居させており、覚醒シーンに説得力を与えていた。小夢が神として目覚めることで、興玉との関係性も単なる上司と部下ではなくなっていく。ここから先、物語がさらに神々の内側へ潜っていくことを予感させる、極めて重要なエピソードであった。

感想

 神が起こした事件を解決に導く。それこそが全決の本来の役割だった。そして、豊玉、宇喜之、芹田、興玉とが別々の能力と役割をもった神で、「神隠し事件」の当初の被害者5人も神だった。

 「神の魂は人間の身体に宿り、その身体が死んでも新たに生まれた赤子に宿り直す。そうやって記憶を繋いで世の中を見守っている」。言っていることは理解できても神が人間と同じ姿をしていることに不思議な感じしかしない。

 能力もそうだが、人間と同じ姿をしているはずがないっていうのが根底にあるからあなのかもしれない。もっとも、日常生活で「私は神です」と言われても頭がおかしい人としか思われないけどね。

 それにしても神が数人一緒のテーブルを囲んでピザをつまんでいる姿は、なんかシュールだな。小夢じゃなくても「これがみんな神様だなんて」って言いたくなる。

 豊玉は少なくとも敵ではないのかなとは思っていたけれど、今までの事件との関わりがよくわからなくて疑問なところも多かったが、各事件の関係者が参拝していてその願いをかなえていたということで謎が解けた。

 こういうの見ると、普段あまり神社に参拝しないけれど、たまにはちゃんと参拝してみようかなと思ってしまう。割と私は単純なんです。

 今回は、いろいろと明らかになったことがありつつ、「犬神の呪い」ってのがメイン。裏には“八百比丘尼の伝説”。

 大隈のクリニックの院長・大隈。実は大国主神。前の人生で愛した女性・犬塚と再会するって話。彼女は人魚の肉を食べて不老不死となった八百比丘尼。ただ、犬塚はともかく大隈は神なのに彼女の正体に気づいていない。

 双方とも気づいていないからこそいいのかもしれない。宇喜之の言葉通り「神は万能ではない」というところに遠い存在でありながら少し親しみすら感じてくる。

 事件が解決した後の興玉、小夢と犬塚のシーン。犬塚が(興玉に大隈とのことを記憶を消されても)「構いません。かれと出会って見せます」と力強くいう場面は良かったし、彼女なら必ず新たな人間に宿った大国主神と再会を果たしそう。

 感動のシーンでうるうるとしていたところで、宇喜之の「神のヒルコがなぜ不老不死を求めるのか?」という気になることをいい、さらに最後に小夢が芹田に「私は貴方の夫なのか?(すなわち天宇受売命)」と問いただす。

 ヒルコの件も気になるけど、小夢はどこで自分が天宇受売命ではないかと気づいたのだろう?そもそも全決にいる時点で自分も神かもと思うのは当然だろうが、神としての記憶はない…と思うが、過去に彼女に何かあったのだろうか。

 事件としては一話完結だけど、次回へと謎を残して終わるから何かすっきりしない。