ブラック・ジャック

REVIEW
キャスト

ブラック・ジャック … 高橋一成  ドクター・キリコ … 石橋静河  長谷川啓介 … 井之脇海  ピノコ … 永尾柚乃  伊丹治郎 … 山中崇  アセチレンランプ店主 … 山内圭哉  後藤一馬 … 早乙女太一  山本刑事 … 千葉哲也  秘書 … 玉置孝匡  六実明夫 … 宇野祥平  六実えみ子 … 松本まりか  琵琶丸 … 竹原ピストル  古川正文 … 奥田瑛二  松方 … 橋爪功

 法外な治療費と引き換えに、どんな手術も成功させる無免許の天才外科医・ブラック・ジャック。手塚治虫の名作医療漫画を令和版の実写化で演じたのは高橋一生だ。

 岸辺露伴に続き、ダーク漫画の主人公の実写版に高橋一生はよく似合う。

 高橋一生版ブラックジャック・ジャックでは数多くあるエピソード中からいくつかを選び、それを組み合わさえて一つのストーリーにしていた。

 原作の漫画を読んだことがあれば見に覚えのあるエピソードだったり、台詞が散りばめられていた。

 その中でのこのドラマのウエイトを占めていたのは大臣の息子の話と獅子面病の話。

 バルボラ共和国にて薬物依存症の古川駿斗が事故を起こす。父親の法務大臣は事故のもみ消しと事故で損傷した駿斗の臓器を取り替えるように部下に命じる。そしてその臓器提供者に選ばれたのが後藤一馬。刑務所に収監されていた彼は、そのために自殺したことにされ始末されてしまう。終盤で実は後藤一馬は死んだわけではなく、古川駿斗と顔を入れ替えていたという事実なのだが…。ベースとなっているのはおそらく「医者はどこだ!」であろう。

 獅子面病はそのまま「獅子面病」がベース。獅子面病の患者の六実えみ子の手術代として2億円請求するブラック・ジャック。笑顔が宝物というえみ子の夫・明夫だが支払えなかった。精神的に追い詰められたえみ子はドクター・キリコに接触し安楽死の提供を願い出る。

 獅子面病でドクター・キリコが登場するのだが、原作とは性別が変更されていて放送前から話題を読んでいた。患者が女性あるため同性にした方が深くより添えるためなのではないかと思ったが、安楽死を提供することには疑問が残る。容姿に激しいコンプレックスを抱いていて精神的に不安定ではあるが、助かる見込みがない患者にはほど遠い。

 安楽死用の薬で、えみ子は心不全を起こす。そこでブラック・ジャックから「えみ子のいない地獄といる地獄」、どちらの地獄を選ぶかと問われ、自分の臓器を売ってでも、えみ子のいる地獄で暮らすと世界を選ぶ明夫。

 このシーン。おそらく「おばあちゃん」がベースなんだろうが、それの話に比べると明夫の言葉に対してブラック・ジャックの「それが聞きたかった」が弱い。明夫に対してのえみ子の愛情だったり、明夫が知らない病気に対するえみ子の苦悩がもっとないとブラック・ジャック台詞が生きてこない。

 えみ子の命とともに獅子面病も治したブラック・ジャックだったが、帰り道に山道の崩落事故で六実夫婦が被害にあったことがニュースで流される。

 せっかく助けた命だったが、神の意思もしくは自然の摂理なのか?最後のシーンはブラック・ジャックらしい。